というわけで、歴史をいろいろ垣間見て来たおさーん。懐中時計の奥深い世界をちょっとだけ覗き、またこの時代に戻ってきた。

ロードマーベルを軸足に置くおさーんではあるが、オールドセイコーを調べていくと、他にも数多くの魅力ある製品が目白押しだ。
そんな中、ロードマーベルと同様に、ちょっとおさーんの琴線に触れたシリーズがキングセイコー。より新しく、かなり現代的なシリーズにはなるが、おさーんはそのストーリー性がとても気に入った。

そこで、ちょっとお手頃なのを狙ってみるかと考え、最初に手に入れたキングセイコーがこれ。

もうパッと見既に、ド素人なおさーんでもわかる、相当に怪しさ満点な個体。だが、そのせいもあってかお手頃価格で入手できた。
この段階では「ひとつくらい買ってみるか」と、気軽な感じ。怪しいものもさほど躊躇はななかったおさーん。

たが、おさーんはこの時計で、初心者が陥る罠にまんまと嵌った。よって戒めのため晒しておこうと思う。

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さて、このモデル、まず文字盤が黒なのがどう考えても怪しい。黒があったのかどうか定かではないが(まぁ無いわな)、あまりにキレイなのがもっと怪しい。まぁリダンだわなと。

次は中身。中身は前期カマ付き。これが欲しかったから、こいつを買ったと言っても過言ではない。
カマはよく折れると言われているが、それでも敢えてカマ付前期を狙うのが漢っつーもんだろよと。
穴車に多少サビも見られたが、それがどうした敢えてのカマ狙い。→あたりまえだがホントはいかん

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※写真はヤフオクの出品画像より引用

で裏蓋なのだが、1967年4月の製造年月。モデルナンバーがRef.44-9990。67年でカマ付きむむむ?。
カマ付きはRef.44999の裏蓋刻印を持つものがほとんどだ。だが、Ref.44-9990表記のモノもちょいちょい見かける。まぁ怪しいが、ガッチャとは言い切れんなこれ。
逆にRef.44-9990の搭載ムーブメントはCal.44Aと刻印されたものががほとんどだ。Cal.44Aはカマ付きを改良したもので、カマが無くとも秒針規正ができるようにしたもの。故障の心配がより少ないので、44KSノンデイトのお勧めは当然こちら。だが、おさーんは素人な上にバカなので、これでいいのだカマ付きで。

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さて、裏蓋の話に戻るが、この個体の少し前に売られていたRef.44999の裏蓋を覗いてみると、裏蓋内側には449990と刻印されていたりする。
Cal.44A化してムーブメントに改良を加えてはみたものの、実のところセイコーからしてみると、Ref.44999とRef.44-9990は単なる表記上の変更を行っただけで、同じモデルというお話なのかもしれない。確認できる範囲で当時のカタログを見ても、ノンデイトに見られるカタログ上の型番らしきものは変わらないんだよね。

ふぅ長かった。で、ここまではよい。→ええんかい!
そんなん買う前に写真見ればわかる。上記画像でちゃんと中身の写真も公開されてたしね。

では、どんな罠にはまったかというと。



これ磨き過ぎなの!エッジが無いの!。てろってろなのてろってろ!!!!!。←そこかい!


そう、買う前に写真も全部確認し、なかなか香しい怪しさが満点なのはわかったと。
まぁそれでも文字盤黒カッコいいしきれいだし。ケースもきれいだしまぁええかと。KSメインで収集したわけでもないので、安けりゃそこまでこだわらんわと。そこまでは納得ずく。

ところが、それに惑わされて磨いてあるケースのデメリットに届くまで気づかなかった!!!!→それこそ見りゃわかるやろがい!

というわけで、見た目のキレイさに惑わされ、大事なポイントを見過ごしてしまったおさーん。
この次は、文字盤の見た目だけじゃなく、見るべきところはちゃんと押さえることを肝に銘じるのであった。
KSはさーエッジ命だよねどれも。やっぱあかんわな、てろてろエッジは。

ちなみに、エッジ以外も仔細に見たところ、文字盤はとてもキレイなのだがインデックスと針は劣化気味。今回はオリジナルと思ってないからいいんだけど、白のリフィニッシュをオリジナルと勘違いしちゃうケースもあるからこうしたポイントは要チェックですかね。

なお、願わくばオリジナルがいいが、そこはコスト見合いでいかようにもと、オリジナル命という程のこだわりは持たないおさーん。
ただね、色変えちゃったならそこはちゃんと表示すべきだよね。しかもこんな色多分ないし。
入手時コイツにそんな表記全く無し。わかってたしカッコイイからまぁいいけど。

なお、このモデル、現在は初代キングセイコーと明確にシリーズを分け語られるが、セイコーウォッチ部品カタログによれば、名称は「キングセイコー規正付」である。当時の感覚ではキングセイコーのセカンドモデルというより、「キングセイコーに秒針規正付けましたぜダンナ!」といったライトな感じで発売されていたのかもしれない。

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というわけで、素性が妙で、エッジてろてろな44KSだが、おさーんはかなり気に入っている。やっぱ黒文字盤似合うやんカッコいいやーん。
44KSノンデイトって黒文字盤&黒ベルト似合うんだよねホント。武骨で力強いラグがそうさせるのか。

これを入手後、キングセイコーに対する見た目がかなり変わった。現在はエッジがもう少しピシッとした白文字盤がめちゃくちゃ欲しいおさーんだった。しかし、44KSノンデイトは、タマ数がわりと豊富なれど、実は人気も高いらしく、そうしたものはお値段もお高いのだった。くくっ・・・。

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セイコー キングセイコー規正付
製造年月:1967年4月
モデルナンバー:Ref.44-9990
キャリバーナンバー:なし(手巻・規正付き)
ペットネーム:KSK
石数:25石
振動数:18,000回/時(5振動)
ケース:SS
文字盤:AD