前回44KSで初心者が陥りがちな罠にはまったおさーん。
教訓に学び、今度は何が大事かを見極め挑んだキングセイコーの二つ目。
一見ビジネスライクなデザインなれど、エッジがパキーンと際立つケースの45KSである。クロノメーターとかそういうの付かない無印ノンデイトだ。

今回のテーマは、「ビンテージなんだから多くは求めない」である。
文字盤そこそこ、ケースは磨きよりエッジ優先、文字盤よりケース状態を優先する。
最悪文字盤はリダンでなんとかなるが、エッジが死んだケースはどうしようもないから。
そんな心構えで入手したブツはこちら。

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キズそこそこだけど、エッジぴ~ん!
このモデルはエッジ命です。てろてろとかあり得ん。

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文字盤はまぁそこそこ。拡大しなけりゃわりとキレイ。

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メダルも腐食は少なく、ちゃんと残ってる。
刻印もちゃんと判読可能。

とまぁ、状態はそこそこなのと、手に入れたのが少し前だったので、お値段もそこそこ。懐に易しいお値段で購入。

さて、45KSは亀戸製の手巻ムーブメントを搭載している。ロードマーベル36000と同様に、10振動のハイビートムーブメントだ。
ひとつ前の44KSの頃から亀戸と諏訪の協力関係が進み、このムーブメントは45GSにも搭載されている(Cal.4520A)。おさーんはGSには知見がなく、このくらい情報しかないが、まぁようやくグループ内のリソース無駄遣いにも終止符が打たれたようだ。

亀戸製としては初のハイビートムーブメントで、中身を拝んだことないのでベースはなんだかよくわからん。おさーんが入手したのはノンデイトだが、他にもカレンダー付きがある。(Cal.4502A)
品質と精度はお墨付きで、かの有名な天文台クロノメーターのCal.4580を頂点とする、亀戸製渾身の高精度ムーブメントだ。

時計自体のデザインは非常にビジネスライクで一見オーソドックス、昔のおっちゃんが付ける時計と言った風情。だが、エッジの効いたケースデザインは、今となってはかなり新鮮。おさーんは結構好きである。
なお、45KSでまことしやかに噂される弱点として、ぜんまい爆弾と呼ばれるものがある。ぜんまいが切れると、その反動で周りの歯車まで巻き込んで破損するのだそうな。
実際にそういう目に遭った人の記事はみたことないのでどこまで本当かわよくわからん。だま、まぁともかくそういった話は弱点としてよく耳にする。
ロードマーベル36000では、そんな話を耳にしたことはないがなぜなのだろう。パワーリザーブが増えたりとかで、ぜんまいが薄くて強力なのだろうか。

因みに、45KSは56KSとほぼ同時に発売されており、56KSは自動巻。つまるところ、キングセイコーとして最後の手巻腕時計ということになる。カタログに掲載されたのは1968年の後半からなので、販売開始もこの前後だろう。この時計の発売とほぼ同じくして、キングセイコーも自動巻に移り行く。時代の流れとは言いながら、一抹の寂しさをおさーんは覚えるのであった。

この個体、最初に手にした時、ゼンマイを巻き切っても全く動かなかった。
あれ?と思いつつ、時間を合わせようと竜頭を引き、時間を合わせて竜頭を元に戻すと快調に動き出した。
この時計、いろいろ情報を見てみるとこうしたものらしい。ぜんまい巻いたら時計を振ると動き出すそうな。以来付けるときは、ゼンマイを巻いた後、時計を振って動かすようにしている。
なお、ロードマーベル36000と違い、音はうるさくなく特に気になることはない。ちなみにおさーんは高齢化による音響センサー老朽化のため、ロードマーベル36000でも全く気にならんけど。

シンプルでベーシックなデザインの45KSノンデイトは、オンオフ共にどんなTPOでも違和感がないので重宝する。スーツ仕事にも違和感ないので、自然と出動回数が増えるのである。
といいつつ、テレワーク全盛でスーツを着る事が極端に少なくなった現在、いわゆる箪笥の肥やしになりつつあるのが寂しいところ。

だが、むしろこれから増えるのはお葬式だったりすることを考えると、白文字盤のシンプルな3針時計を最低ひとつは持っておく必要がある。こうした出番は増えてほしくないが、それでも心強いラインナップ拡充ということにしておこう。

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なお、おさーんはスクリューバックオープナーを持ってないので、今回はムーブメントのご開帳は無しだ。いつかオープナーを手に入れたらまたお見せしたいと思う。
何よりこいつはひょっとすると、ひょっとすることもあるので、いずれ必ず中身を見たいと考えるおさーんだった。

そしてこの個体はとても快調で、日差も今のことろ10数秒程度とびっくりである。なんかすごいぞこいつ、なんでこんなにいいんだろ。
これしばらくはこのまま使い、オーバーホールを考えてみようかと思う。

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セイコー 45キングセイコー(規正付き)
製造年月:1971年7月
モデルナンバー:Ref.45-7001
キャリバーナンバー:Cal.4500A(手巻)
ペットネーム:45KS
石数:25石
振動数:36,000回/時(10振動)
ケース:SS
文字盤:AD