持っているマーベルは二つほどあるが、動かないものばかりだ。これらは元々マーベルの実物を一度見たくて、ジャンクと知りつつ手に入れてみたものだ。
まぁ、一部の部品をドナーとしてロードマーベルに使えるかもと思ったのと、あわよくば分解して自分の手で掃除してみようと考えたので、動かなくてもよかったのであった。

だが、ジャンクを手に入れてみると、やはり動くのも欲しくなってくる。結局辛抱たまらなくなったおさーんは、懐に優し目のマーベルを狙ってみることにした。そうして手に入ったのがこれ。

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マーベルは17石がおそらく最も多いが、これは初号機と同様な19石モデル。ちょっと贅沢なマーベルだ。文字盤はうすら汚れているが、これも悪くない雰囲気。むしろビンテージ感があって良い味わい。このマーベルは1958年製で、既に60年以上経過した古時計。むしろ防水性皆無でパッキンも無い60年前の腕時計が、これくらいの劣化でとどまっていることがなかなか凄いと思われ。

腕に巻いてみると、ちょっと小さめだがなかなかご機嫌だ。この大きさでもあまり気にならない。あとやっぱボンベダイヤルいいわ。

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このマーベルのムーブメントは、セイコーがムーブメントやモデルを体系立てて整理するようになる前のものだ。だからキャリバーナンバーもペットネームもない。4桁-4桁のキャリバーとケースを表すモデルナンバーもなく、せいぜいケースナンバーがあるくらい。こうした状況はマーベルの発売期間中はずっと変わらなかった。ロードマーベルの時代でも後期にならないとキャリバーナンバーやモデルナンバーも付かない。
マーベルの発売は1956年から4年間程度と言われている。その間、基本的な構成は大きく変わらなかったようだが、耐振装置やテンプなど、細かな点においては結構な変更があったと聞く。また、17石がベースとなる仕様だが、今回手に入れた19石や21石といったバリエーションが存在する。

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因みに、19石以上は赤機械と呼ばれている。その謂れのとおり、赤くメッキされたキャリバーを搭載している。耐震装置は初号機同様E-2耐震だ。補油装置は17石だとひとつなのだが、ちょい高級な19石は旧式がふたつ。これが19石の標準仕様のようだ。テンプはチラねじ付き。同じ19石の初号機はちらチラねじなかったけどこっちはチラねじ付き。
さすがに動品なだけあって、これまで見たどのマーベルより綺麗だ。やはり汚れは大敵なんだろうね。
セイコーの腕時計は、この後のロードマーベルでテンプからチラねじがなくなる。マーベルでチラなしテンプは数も少ない。さすがにまだ昔を引きずっている感じですねこういうトコは。

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裏蓋はステンレスでこれが割と多い仕様。
ロードマーベルとキングセイコーの収集も落ち着きつつあるので、今後は少しマーベルにも目を向けたいと考えるおさーん。マーベルはとにかく文字盤のバリエーションが多く、とても魅力的な時計だと思う。

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セイコー マーベル
製造年月:1958年1月
モデルナンバー:不明
キャリバーナンバー:なし(手巻)
ケースナンバー:14033
ペットネーム:M
石数:19石
振動数:18,000回/時
ケース:14K FGF
文字盤:不明