さてさて、汗で風防を曇らせるという暴挙やってもうた古時計「はまぐり」四号機は、「ごはんさん」こと、福島の精計堂時計店へメンテをお願いした。

ほぼ1週間ほどで返却のメールが届き、「明日送ります」というメールに金額が明記されていた。支払いは振込かと思ったが、ゆうパックの代引きだった。送料込みの代引き手数料となるが、なにせOHの金額が金額なので、元より文句などあろうはずもない。多少のお金ごときで、これで文句言うのはバチがあたるわホント。

発送日の翌日届いた時計と同梱されていたのは、ネットで噂にあるように留意事項が処狭しと書き込まれたOHの3か月保証書。店主直々の毛筆手書きである。
うわーなんかすげぇこれ。注意事項がいくつか書かれている。

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おさーんがここまで手に入れた時計は、今から1年以上前に手に入れたものばかりなので、Lロードを除き4万を超えるモノはない。たいていのものは時計よりメンテナンス費用の方が高くなる。
このお店は以前から耳にしていたが、噂ではいろいろ聞くが、実際に試してみないとよくわからんので今回お願いしてみたわけだ。

では、戻ってきた時計を確認。
研磨などは依頼していないので外見上は全く変わりはない。できればキレイになったムーブメントを見たいが、メンテナンスしたばかりである。ここはぐっと我慢のおさーんであった。

精度はどうか。元々OH直後の状態で入手しており、さほど問題はなかったが、日差+-15秒で調整いただいたそうだ。
各種サイトでよく見掛けるビンテージ腕時計の精度といった記載には、「あまり期待せず1~2分くらいで・・・」といったものが多いが、まぁそんなの全然お構いなしのこの精度。現在売られている時計と比較してもさほど遜色ないでしょこれ。
因みに、現行GSの9Sメカニカルは、動的精度で日差+8~-1秒。これ新GS規格だそうなので、マジで日差15秒の上位と言ったらコレになってしまうのだろうきっと。60年前の時計でこれですか。当時のGS並みじゃねーのこれと一瞬考えるおさーん。

じゃ当時のGSどないやねんと思い、GSファーストに当時付けられていた歩度証明書を探してみる。
たまたま見つけた1つの歩度証明書には、これまた絶望的な数値が書かれていた。
「平均日差 +1.4秒」!!!。なんちゅう数字出しとんねんこれ。はまぐりもそうだが、当時の高級品に込められた技術凄すぎ!

前の記事で「はまぐりの精度はGSと遜色なし!」と書いたのはウソでしたごめんなさい。おさーんの勝手な思い込みでしたすんません。
やはりGSファーストは凄かった。技術者は熱意を込めてというか、鬼のような執念というか、全精力を込めて調整したんだろうなきっと。

だがまぁ、だから昔の機械が素晴らしいと現在の時計を揶揄するつもりは毛頭ない。勝手な妄想になるが、SEIKOが造る現代の時計は、GSを除けばおそらく組み立てただけで性能を発揮でき、チェックでおかしいものだけちょちょいと調整をしているのではないかと想定している。もし現代で1個1個手作業でキッチリ調整してたら、あんな値段で販売できるわけがないからだ。
つまるところ、組むだけで性能を担保できる部品精度と組み立て手順が確立されているんだろうなと。まぁとんでもない技術だ。

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いやーにしても「はまぐり」素敵だわ。この画像はアングルいいなー。ほれぼれするわ。
「はまぐりバカ」悦に浸る!
なお、メンテに出してから既に一年経過したのだが、今のところ外観・精度ともキッチリ性能を維持しており特に問題はなさげだ。今回は特に問題なしということで、一旦終えておくことにしよう。

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セイコー ロードマーベル(はまぐり四号機)
製造年月:1959年5月
モデルナンバー:LM-2
キャリバーナンバー:なし(手巻)
ケースナンバー:J14039
ペットネーム:なし
石数:23石
振動数:18,000回/時(5振動)
ケース:14KGF(80MICRON)
文字盤:SD