えー、またしても性懲りもなく懐中時計シリーズ。もう買わんと言いながらやっぱり買ってしまうのであった。なんのかんのいいながら、懐中時計も回を重ねて3つ目だ。
今回の時計もなかなかの逸品というか、ようやくの一品。やっとこさのコイツなのだ。といいつつ、毎度毎度のウォルサム。だってこれしか知らんもん。
ではどうぞドドン!

えー、なんというか、これ時計じゃなくて、なんと無謀にもムーブメントだけである。
どうすんだこれ。こんなもん動かんじゃんこのままじゃ。まぁ動くけど。
この時計はeBayで手に入れたもの。eBayは昔からちょいちょい利用しているが、時計はこれが初めてだ。さすがにアメリカ懐中時計は本場アメリカでの販売数量が圧倒的。そしてeBayでは、ムーブメントだけが単体でたくさん売られているのである。
単体でどうすんのこんなもんとかっていう話だが、以前懐中時計の記事で書いたように、この時代のアメリカ製懐中時計は、ムーブメントとケースはそれぞれ単体で売られていたのだった。
工場出荷時にケーシングされたものもないわけではないが、カタログに「ケーシングされてますよ」と書かれるレベルでレアな感じ。
それを反映というわけでもないだろうが、eBayでは懐中時計のムーブメント単品はおろか、ケースも単体で結構売られているのである。
まぁそのうちケースも買うからセットしてということで・・。
さて、なんでバラで買ったかというと、おさーんはバカなので無謀なのだった。
こいつはバラじゃないとおさーんの財力で買えないのである。ケースとセットの完品は高くて買えんのよ。
さて、ではこの時計の説明を。
アメリカ製懐中時計といえば、レイルロードアプルーブド。いわゆる鉄道時計である。だが、鉄道時計とあれほど言いながら、おさーんが手に入れたのは、どれも鉄道時計に準拠するものばかりであった。だって仕方ないじゃんさ目に入るのマキシマばっかなんだもん。
で、今回のこれは見た目になんか違うであろう。ぶっとい針にでかいインデックス。これぞ王道の鉄道時計。
というわけで・・・。今回はちゃーんと狙った鉄道時計。どこからどう見ても鉄道時計。正真正銘公認鉄道時計!!!。→しつこい
というわけで、こいつはようやくのウォルサム ヴァンガード 。16サイズの23石だわん。
ついに来たよレイルロードが。
そしてこいつはこれに加えて、ワインディング・インジケーター付き。
これなのよ高くてケース付き手に入れられなかった理由ってのは。でも目の前に出てくるなら欲しいじゃんやっぱ。
リバーサイド・マシキマにもこれが付いてるものがあると聞くが、プレミアマキシマくらいしかお目にかかったことはない。あったら相当お高いんだろうなぁきっと。
というのも、ことヴァンガードにおいては、これの有る無しで値段が倍を超えるほど変わるわけで、どじょうが出てきて「ちーす!」するほど「さぁ大変!!」なのだった。
(なお鉄道時計的にはワインディングインジケーターは必要要件ではない)

さて、今回の時計だが、文字盤の中心から10時方向に向かって、ほのかにヘアラインあり。インジケーターの目盛り7あたりにチップあり。だがこれ写真を拡大してるから、かすかにわかるのであって、肉眼で見たらほぼ見えない程度。いやでも100年以上前のアンティークでこれくらいはまぁいいでしょうよ。加えてこいつはレイルロード・アプルーブド。ドレスウォッチに比べると、比較にならないほど文字盤は過酷な状況にさらされるのだ。なんとなれば時刻合わせがレバーセット。
鉄道時計は、このヴァンガードのように、視認性のためぶっとい針と見やすく大きなインデックスが必須。これに加え、時刻合わせはレバーセットである必要がある。
レバーセットというのは、龍頭とは別についているレバーを操作しないと時刻が設定できない機構のこと。これが鉄道時計として公認されるための機能要件に含まれているためだ。(厳密に言うと、レバーセットでなければならないわけでもないらしい)
あ、補足しとくと、本職の鉄道業務に携わる人も時計は支給品ではなかったらしい。時計は自腹のようだ。そりゃ偉い人でもなければ超高価なものなんか仕事で使えんよね。
今回購入したのはヴァンガードだが、ヴァンガードとて、鉄道時計の中では結構なハイグレード。もっとお値打ちな鉄道時計は各メーカーであったりするから、お仕事で使ってたのはそういうのが多いだろう。
さて、なんで鉄道時計はレバーセット?なお話だが、ここからおさーんの妄想炸裂である。
ペンダントセット(龍頭による時刻合わせ)は確かに扱いも楽だが、龍頭と巻軸にある四つバネが痛んだりすると、龍頭の押し込みが緩くなったりする。押し込みが緩くなるとどうなるか、龍頭は常に伸びきった状態なので、龍頭に触っただけで時刻がずれちゃうのだ。えらいことである。
また、仮に龍頭がまともでも、ゼンマイ巻いて龍頭を押し込み忘れると同じ事が起こるわけで、これもえらいことだ。
そんなわけで、故障やうっかりミスっても時間がずれたりしないよう、また、時刻合わせを確実な手法で行うための安全装置として、ゼンマイの巻き上げ機構と時刻合わせをそれぞれ独立させ、レバーを操作しないと時刻が変えられないようにしてあるのだと思う。
いったん合わせたら、簡単に時間を調節できない機構を組み込む。あわせて、頻繁に時刻合わせをしなくともよいように、精度を高めて狂いにくい機能を規格化し実装させる。こうして鉄道時計は精度と不意の時刻ずれ防止を担保しているようだ。
通常は、守るべき数値指標のみを規格化して、これを満たす精度で作ってね!と日本ならするところだろう。だが、アメリカの場合は、指標の規格化だけでなく、これを実現するために必要な機能や調整基準までこと細かく規格に組み込んであるのだ。なかなか合理的である。
なお、レバーセットは、文字盤側のガラス外して、レバー引っ張ってから時刻合わせるわけですよ。ほら、上の画像でダイヤルの11時上の端っこの外周部分、色が少し変わってるでしょ。これがレバーでこれを引っ張り上げて時間合わせを行うわけ。まぁめんどうだよなこんなの。時刻合わせのために毎回ガラス外すんだから。
職業な方は、毎日ガラス外して文字盤むき出しにして時刻合わせ。そりゃダイヤルは劣化もするし汚れますわなと。

※レバーをぽろんした状態。文字盤むき出しにして、ぽろんして毎回時刻合わせ。
※なのでレイルロード用ケースは、ガラス含む枠ごと簡単に外れるようになってます。
※ケースには、レバーが通るよう枠のこの位置に、切り欠き(スロット)が入ってます。
※レバーは時計の右側にあるものが圧倒的に多いので、この時計に合う左スロットケースを探すのに困難を極めています。
※普通のヴァンガードは右側スロットで、インジケーター付きモデルだけが左スロットなんすー。しかもこれ、かなり少ないらしく、左スロットケースがほとんどない!困ってるんすー!!!
というわけで、公認鉄道時計は、文字盤損傷はある程度仕方ないと思うわけだ。チップとかヘアラインとかはまぁ仕方ないですわ。
ダイヤルはダブルサンクと呼ばれる、通常なら丸い文字盤を3つ重ねて立体感を出してあるもの。インジケーター付きは4つの丸いダイアルを重ね合わせてある。今まで持ってたのはシングルサンクで、ダブルサンクは高級ダイヤルだ。
というわけでこの時計の簡単な概略を。
ウォルサム ヴァンガードはアメリカ鉄道規格の公認時計だ。ただし民生用途のモノも数多く、そうしたものは時刻合わせはペンダントセットになる。この時計のサイズは最もメジャーな16サイズ。これ以外に18サイズもあったりするが、どれもすべて鉄道時計グレード準拠とのこと。おさーんの入手した個体は16サイズの23石だ。
では、いつものPOCKET WATCH DATABASEで仕様を読み解いてみよう。
グレードはVanguardでモデルは1908。1913年頃に製造された110年近く前のアンティーク時計で、なんと177,450個も生産されている。いつもながらすごいなこれは。今回入手したものは、モデル1908のワインディング・インジケーター付き。ワインディング・インジケーターは数が少なく希少。
では、ムーブメントどうぞ。マシキマほどではないが、これもとても素晴らしいぞ。

あれケースあるじゃんみたいな。ぢつはこれ予備で持っているものだが、レイルロード用ではない。ムーブメントは嵌るには嵌るが、この時計には合わない。ケースにレバーの切り欠きがなく、時刻合わせができないのであった。
おっと気を取り直して、お馴染みの美しいダマスキン。ヴァンガードはその模様に特徴もあって、わりとパッと見でわかるような特徴を持つ。ウォルサムの中でも特徴的かと思う。
さすがに素手で触るのはアレなので、作業用の使い捨てゴム手で持ってみたの図。光の加減で超絶きれいなムーブメント。いやこれさすがは16サイズ、無垢ニッケル地盤のムーブメント。持った感じがずっしりきますわ心地よいですわぁ。落とすとその瞬間大惨事確定なので、おててぷるぷる震えてます。

ちょっとテンプ周りを拡大してみた。さすがにシャトン(金色の石抑え)はリバーサイド・マキシマに比べると若干控えめな感じもするが、ここはマキシマ同様金無垢を使っている。
伏石はルビーとダイヤが使われる。テンプはバイメタルで、この伏石がダイヤだ。この辺りもリバーサイド・マシキマと同じ。ゴールドのレタリングがなんと鮮やかな。
二番車はゴールドトレインの金無垢素材。その下の歯車との色合い・仕上げが違うのも見て取れる。超絶豪勢な造りである。

バイメタルテンプというのは、温度によって金属が膨縮することによる誤差を防ぐために考えられたもので、膨縮率の異なる2種類の金属を張り合わせたもの。確か鉄と真鍮のはずだ。
テンプに切れ込みが入っているのも誤差を減らすための工夫だ。このあたりの精度にかかわる機能について、ヴァンガードはリバーサイド・マキシマと同様な素材と機能を持っている。微動緩急針も当然具備。
ヴァンガードのムーブメントについては、マサズパスタイムの懐中時計講座に詳しく説明した記事がある。詳細な分解写真もあるので、ご参考にどうぞ。記事はこちら。

ヴァンガードのカタログだ。ムーブメントを単体で売っているのは先に記載したが、ムーブメント単体売りなのでカタログはどれもムーブメントの説明だけである。こちらは微動緩急針装置がスター型のカタログではあるが、詳しく説明してあるカタログがこちらだけだったのでご容赦いただきたい。
温度と等時性に加え5姿勢調整で出荷される23石の懐中時計。その内訳はルビー・サファイアと1対のダイヤモンド。補正テンプには特許の取り外し可能な天真と、バランス調整用のネジを備え、天真の両軸受けにダイヤモンドキャップが使われる。焼き鈍しされた特許のブレゲひげゼンマイや、ダブルローラー、バイメタルテンプといった、鉄道時計ではお約束の機能が並ぶ。また、安全装置が組み込まれた香箱にはサファイアがベアリングとして組み込まれているそうな。
なお、記載はないが、2番車はゴールドトレインで、バランス調整用のネジ(ミーンタイムスクリュー)を含むテンプのちらネジやシャトンもゴールドだろう。鉄製のパーツもいくつかあるが、こうしたものには磨きが入っている。表面の各所留めネジの頭も全部磨き上げられているのよね。
ちなみに、ヴァンガードに限らず、まだ贅沢な時代の時計はこのあたりの年代までだ。もう少し後になると、この見事なダマスキン模様がジュネーブ装飾になったり何もなくなったり。あと新しい時代のものは、プレート上のペットネーム下にU.S.A.と刻印が入る。
というわけで、見た目はグレードの高いマキシマが超絶だが、カタログスペックでは、リバーサイド・マキシマとヴァンガードは仕様がほぼ同じだ。ヴァンガードはダイヤモンドキャップが1か所になるくらいが違いだろうか。
まぁどちらも鉄道時計規格に準拠して作られているので、似ているのは当り前といえば当り前だが、精度にかかわる部材や機能は全くと言ってよいほど同じである。実際の精度においても差はないだろう。
そう考えると、ヴァンガードのお得感って凄くないだろうか。
マキシマはフルゴールドトレインがあったりするが、2番車のみがゴールドのものも多い。となればここも同じである。違いのほとんどは装飾と、マキシマというブランドということになる。ワインディング・インジケーターなどを狙わなければ、マキシマと変わらぬ贅沢さにも関わらず、実のところヴァンガードはマキシマよりも相当なお手頃価格。価格はおそらく1/3以下。
ヴァンガードは結構なハイグレードだけど、数も豊富にあるしかなりお勧めな気がしてきた。
今回の時計もなかなかの逸品というか、ようやくの一品。やっとこさのコイツなのだ。といいつつ、毎度毎度のウォルサム。だってこれしか知らんもん。
ではどうぞドドン!

えー、なんというか、これ時計じゃなくて、なんと無謀にもムーブメントだけである。
どうすんだこれ。こんなもん動かんじゃんこのままじゃ。まぁ動くけど。
この時計はeBayで手に入れたもの。eBayは昔からちょいちょい利用しているが、時計はこれが初めてだ。さすがにアメリカ懐中時計は本場アメリカでの販売数量が圧倒的。そしてeBayでは、ムーブメントだけが単体でたくさん売られているのである。
単体でどうすんのこんなもんとかっていう話だが、以前懐中時計の記事で書いたように、この時代のアメリカ製懐中時計は、ムーブメントとケースはそれぞれ単体で売られていたのだった。
工場出荷時にケーシングされたものもないわけではないが、カタログに「ケーシングされてますよ」と書かれるレベルでレアな感じ。
それを反映というわけでもないだろうが、eBayでは懐中時計のムーブメント単品はおろか、ケースも単体で結構売られているのである。
まぁそのうちケースも買うからセットしてということで・・。
さて、なんでバラで買ったかというと、おさーんはバカなので無謀なのだった。
こいつはバラじゃないとおさーんの財力で買えないのである。ケースとセットの完品は高くて買えんのよ。
さて、ではこの時計の説明を。
アメリカ製懐中時計といえば、レイルロードアプルーブド。いわゆる鉄道時計である。だが、鉄道時計とあれほど言いながら、おさーんが手に入れたのは、どれも鉄道時計に準拠するものばかりであった。だって仕方ないじゃんさ目に入るのマキシマばっかなんだもん。
で、今回のこれは見た目になんか違うであろう。ぶっとい針にでかいインデックス。これぞ王道の鉄道時計。
というわけで・・・。今回はちゃーんと狙った鉄道時計。どこからどう見ても鉄道時計。正真正銘公認鉄道時計!!!。→しつこい
というわけで、こいつはようやくのウォルサム ヴァンガード 。16サイズの23石だわん。
ついに来たよレイルロードが。
そしてこいつはこれに加えて、ワインディング・インジケーター付き。
これなのよ高くてケース付き手に入れられなかった理由ってのは。でも目の前に出てくるなら欲しいじゃんやっぱ。
リバーサイド・マシキマにもこれが付いてるものがあると聞くが、プレミアマキシマくらいしかお目にかかったことはない。あったら相当お高いんだろうなぁきっと。
というのも、ことヴァンガードにおいては、これの有る無しで値段が倍を超えるほど変わるわけで、どじょうが出てきて「ちーす!」するほど「さぁ大変!!」なのだった。
(なお鉄道時計的にはワインディングインジケーターは必要要件ではない)

さて、今回の時計だが、文字盤の中心から10時方向に向かって、ほのかにヘアラインあり。インジケーターの目盛り7あたりにチップあり。だがこれ写真を拡大してるから、かすかにわかるのであって、肉眼で見たらほぼ見えない程度。いやでも100年以上前のアンティークでこれくらいはまぁいいでしょうよ。加えてこいつはレイルロード・アプルーブド。ドレスウォッチに比べると、比較にならないほど文字盤は過酷な状況にさらされるのだ。なんとなれば時刻合わせがレバーセット。
鉄道時計は、このヴァンガードのように、視認性のためぶっとい針と見やすく大きなインデックスが必須。これに加え、時刻合わせはレバーセットである必要がある。
レバーセットというのは、龍頭とは別についているレバーを操作しないと時刻が設定できない機構のこと。これが鉄道時計として公認されるための機能要件に含まれているためだ。(厳密に言うと、レバーセットでなければならないわけでもないらしい)
あ、補足しとくと、本職の鉄道業務に携わる人も時計は支給品ではなかったらしい。時計は自腹のようだ。そりゃ偉い人でもなければ超高価なものなんか仕事で使えんよね。
今回購入したのはヴァンガードだが、ヴァンガードとて、鉄道時計の中では結構なハイグレード。もっとお値打ちな鉄道時計は各メーカーであったりするから、お仕事で使ってたのはそういうのが多いだろう。
さて、なんで鉄道時計はレバーセット?なお話だが、ここからおさーんの妄想炸裂である。
ペンダントセット(龍頭による時刻合わせ)は確かに扱いも楽だが、龍頭と巻軸にある四つバネが痛んだりすると、龍頭の押し込みが緩くなったりする。押し込みが緩くなるとどうなるか、龍頭は常に伸びきった状態なので、龍頭に触っただけで時刻がずれちゃうのだ。えらいことである。
また、仮に龍頭がまともでも、ゼンマイ巻いて龍頭を押し込み忘れると同じ事が起こるわけで、これもえらいことだ。
そんなわけで、故障やうっかりミスっても時間がずれたりしないよう、また、時刻合わせを確実な手法で行うための安全装置として、ゼンマイの巻き上げ機構と時刻合わせをそれぞれ独立させ、レバーを操作しないと時刻が変えられないようにしてあるのだと思う。
いったん合わせたら、簡単に時間を調節できない機構を組み込む。あわせて、頻繁に時刻合わせをしなくともよいように、精度を高めて狂いにくい機能を規格化し実装させる。こうして鉄道時計は精度と不意の時刻ずれ防止を担保しているようだ。
通常は、守るべき数値指標のみを規格化して、これを満たす精度で作ってね!と日本ならするところだろう。だが、アメリカの場合は、指標の規格化だけでなく、これを実現するために必要な機能や調整基準までこと細かく規格に組み込んであるのだ。なかなか合理的である。
なお、レバーセットは、文字盤側のガラス外して、レバー引っ張ってから時刻合わせるわけですよ。ほら、上の画像でダイヤルの11時上の端っこの外周部分、色が少し変わってるでしょ。これがレバーでこれを引っ張り上げて時間合わせを行うわけ。まぁめんどうだよなこんなの。時刻合わせのために毎回ガラス外すんだから。
職業な方は、毎日ガラス外して文字盤むき出しにして時刻合わせ。そりゃダイヤルは劣化もするし汚れますわなと。

※レバーをぽろんした状態。文字盤むき出しにして、ぽろんして毎回時刻合わせ。
※なのでレイルロード用ケースは、ガラス含む枠ごと簡単に外れるようになってます。
※ケースには、レバーが通るよう枠のこの位置に、切り欠き(スロット)が入ってます。
※レバーは時計の右側にあるものが圧倒的に多いので、この時計に合う左スロットケースを探すのに困難を極めています。
※普通のヴァンガードは右側スロットで、インジケーター付きモデルだけが左スロットなんすー。しかもこれ、かなり少ないらしく、左スロットケースがほとんどない!困ってるんすー!!!
というわけで、公認鉄道時計は、文字盤損傷はある程度仕方ないと思うわけだ。チップとかヘアラインとかはまぁ仕方ないですわ。
ダイヤルはダブルサンクと呼ばれる、通常なら丸い文字盤を3つ重ねて立体感を出してあるもの。インジケーター付きは4つの丸いダイアルを重ね合わせてある。今まで持ってたのはシングルサンクで、ダブルサンクは高級ダイヤルだ。
というわけでこの時計の簡単な概略を。
ウォルサム ヴァンガードはアメリカ鉄道規格の公認時計だ。ただし民生用途のモノも数多く、そうしたものは時刻合わせはペンダントセットになる。この時計のサイズは最もメジャーな16サイズ。これ以外に18サイズもあったりするが、どれもすべて鉄道時計グレード準拠とのこと。おさーんの入手した個体は16サイズの23石だ。
では、いつものPOCKET WATCH DATABASEで仕様を読み解いてみよう。
グレードはVanguardでモデルは1908。1913年頃に製造された110年近く前のアンティーク時計で、なんと177,450個も生産されている。いつもながらすごいなこれは。今回入手したものは、モデル1908のワインディング・インジケーター付き。ワインディング・インジケーターは数が少なく希少。
では、ムーブメントどうぞ。マシキマほどではないが、これもとても素晴らしいぞ。

あれケースあるじゃんみたいな。ぢつはこれ予備で持っているものだが、レイルロード用ではない。ムーブメントは嵌るには嵌るが、この時計には合わない。ケースにレバーの切り欠きがなく、時刻合わせができないのであった。
おっと気を取り直して、お馴染みの美しいダマスキン。ヴァンガードはその模様に特徴もあって、わりとパッと見でわかるような特徴を持つ。ウォルサムの中でも特徴的かと思う。
さすがに素手で触るのはアレなので、作業用の使い捨てゴム手で持ってみたの図。光の加減で超絶きれいなムーブメント。いやこれさすがは16サイズ、無垢ニッケル地盤のムーブメント。持った感じがずっしりきますわ心地よいですわぁ。落とすとその瞬間大惨事確定なので、おててぷるぷる震えてます。

ちょっとテンプ周りを拡大してみた。さすがにシャトン(金色の石抑え)はリバーサイド・マキシマに比べると若干控えめな感じもするが、ここはマキシマ同様金無垢を使っている。
伏石はルビーとダイヤが使われる。テンプはバイメタルで、この伏石がダイヤだ。この辺りもリバーサイド・マシキマと同じ。ゴールドのレタリングがなんと鮮やかな。
二番車はゴールドトレインの金無垢素材。その下の歯車との色合い・仕上げが違うのも見て取れる。超絶豪勢な造りである。

バイメタルテンプというのは、温度によって金属が膨縮することによる誤差を防ぐために考えられたもので、膨縮率の異なる2種類の金属を張り合わせたもの。確か鉄と真鍮のはずだ。
テンプに切れ込みが入っているのも誤差を減らすための工夫だ。このあたりの精度にかかわる機能について、ヴァンガードはリバーサイド・マキシマと同様な素材と機能を持っている。微動緩急針も当然具備。
ヴァンガードのムーブメントについては、マサズパスタイムの懐中時計講座に詳しく説明した記事がある。詳細な分解写真もあるので、ご参考にどうぞ。記事はこちら。

ヴァンガードのカタログだ。ムーブメントを単体で売っているのは先に記載したが、ムーブメント単体売りなのでカタログはどれもムーブメントの説明だけである。こちらは微動緩急針装置がスター型のカタログではあるが、詳しく説明してあるカタログがこちらだけだったのでご容赦いただきたい。
温度と等時性に加え5姿勢調整で出荷される23石の懐中時計。その内訳はルビー・サファイアと1対のダイヤモンド。補正テンプには特許の取り外し可能な天真と、バランス調整用のネジを備え、天真の両軸受けにダイヤモンドキャップが使われる。焼き鈍しされた特許のブレゲひげゼンマイや、ダブルローラー、バイメタルテンプといった、鉄道時計ではお約束の機能が並ぶ。また、安全装置が組み込まれた香箱にはサファイアがベアリングとして組み込まれているそうな。
なお、記載はないが、2番車はゴールドトレインで、バランス調整用のネジ(ミーンタイムスクリュー)を含むテンプのちらネジやシャトンもゴールドだろう。鉄製のパーツもいくつかあるが、こうしたものには磨きが入っている。表面の各所留めネジの頭も全部磨き上げられているのよね。
ちなみに、ヴァンガードに限らず、まだ贅沢な時代の時計はこのあたりの年代までだ。もう少し後になると、この見事なダマスキン模様がジュネーブ装飾になったり何もなくなったり。あと新しい時代のものは、プレート上のペットネーム下にU.S.A.と刻印が入る。
というわけで、見た目はグレードの高いマキシマが超絶だが、カタログスペックでは、リバーサイド・マキシマとヴァンガードは仕様がほぼ同じだ。ヴァンガードはダイヤモンドキャップが1か所になるくらいが違いだろうか。
まぁどちらも鉄道時計規格に準拠して作られているので、似ているのは当り前といえば当り前だが、精度にかかわる部材や機能は全くと言ってよいほど同じである。実際の精度においても差はないだろう。
そう考えると、ヴァンガードのお得感って凄くないだろうか。
マキシマはフルゴールドトレインがあったりするが、2番車のみがゴールドのものも多い。となればここも同じである。違いのほとんどは装飾と、マキシマというブランドということになる。ワインディング・インジケーターなどを狙わなければ、マキシマと変わらぬ贅沢さにも関わらず、実のところヴァンガードはマキシマよりも相当なお手頃価格。価格はおそらく1/3以下。
ヴァンガードは結構なハイグレードだけど、数も豊富にあるしかなりお勧めな気がしてきた。
おさーんのハイグレードアメリカ製懐中時計のお勧めは、これ以降ヴァンガードということにしておこう。他のメーカーはほとんど知らんので、おさーんはこいつをお勧めに推しとく。
そして、3つ目のハイグレードモデルにして、ようやくカタログの時計用語がほぼ理解できつつあるおさーん。繰り返し見ているとわかるようになるんだねぇ。いやぁ進歩だわ。
さて、写真ばかりで実際の16サイズは初めて実物を見るが、まぁ想像通りすごい迫力だ。12サイズでけぇ!と思ったが16サイズはさらに大きく、全面に施されるダマスキン装飾の素晴らしさと言ったら言葉にならん。
いやぁ中身だけなんだがホント買ってよかった。言葉にならない素晴らしさと、それ以上の嬉しさにニヤニヤしっぱなしの気味が悪いおさーんであった。
さて、これでウォルサムの懐中時計も3つ目で、ようやくの16サイズ鉄道時計だ。もうこの状態でも、ありえない程素晴らしい状況なのだ。でもなぁ、やっぱ16sもうひとつ欲しいなぁ。
マキシマええなぁ。でもあれ、数もそこそこあるクセに高いんだよな裸でも。
そして、3つ目のハイグレードモデルにして、ようやくカタログの時計用語がほぼ理解できつつあるおさーん。繰り返し見ているとわかるようになるんだねぇ。いやぁ進歩だわ。
さて、写真ばかりで実際の16サイズは初めて実物を見るが、まぁ想像通りすごい迫力だ。12サイズでけぇ!と思ったが16サイズはさらに大きく、全面に施されるダマスキン装飾の素晴らしさと言ったら言葉にならん。
いやぁ中身だけなんだがホント買ってよかった。言葉にならない素晴らしさと、それ以上の嬉しさにニヤニヤしっぱなしの気味が悪いおさーんであった。
さて、これでウォルサムの懐中時計も3つ目で、ようやくの16サイズ鉄道時計だ。もうこの状態でも、ありえない程素晴らしい状況なのだ。でもなぁ、やっぱ16sもうひとつ欲しいなぁ。
マキシマええなぁ。でもあれ、数もそこそこあるクセに高いんだよな裸でも。
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Waltham Vanguard(ワインディング・インジケーター付き)
製造年月:1915年前後
モデルナンバー:Model1908
グレード:Vanguard
生産数量:177,450個
生産数量:177,450個
キャリバーナンバー:19063188(手巻)
サイズ:16s(43.18mm)石数:23石
ムーブメントタイプ:オープンフェイス
ムーブメントセット:レバーセット
ムーブメントタイプ:オープンフェイス
ムーブメントセット:レバーセット
振動数:18,000/時(5振動)
ケース:なし
文字盤:ダブルサンク・ポーセリン文字盤
文字盤:ダブルサンク・ポーセリン文字盤
コメント
コメント一覧 (3)
凄まじいハマりっぷりに恐怖を感じます(褒め言葉とお受け取りください (^^)v )。
で、記事の内容に全然ついていけない私は、とりあえずオサーンさんお薦めのマサズパスタイムさんの懐中時計講座を読んでお勉強することにしました。でも、間違っても現物を手に取って確認しようだなんて思わないよう、そこだけは注意したいです ^^;
おさーん
が
しました
ホントつまんない記事でごめんなさい。ですけどね、こと造りと精度において言えば、凄いんですよホント。金やらダイヤやら使っておまけに見事な装飾掛けて精度も週30秒以内で動くなんてのがゴロゴロしてるんですあの時代。
そんなニッチなところの魅力がほんの少しでも伝わるといいかなと思っています。
おさーん
が
しました
あーこの懐中、手に入れたのは1年少し前ですが、最近ヤフオクにポンポン出品されててですね、国内で買うとeBayの半額くらいで手に入ってました。しかもケースついて。
ただ、中身はどうなってるかわかりません。しかもほぼ1世紀前の工業製品です。日常使用に耐えるにはキッチリとしたメンテが確実に必要でしょう。(きっちりやると買値の数倍)
ただ、手に入れるだけならヤフオクは安いです。そういうことです。
おさーん
が
しました