線路は続くよどこまでも。このところすっかり鉄道時計にはまり込んでいるおさーんである。そしてすでに泥沼状態。もうさ、だって仕方ないじゃん。欲しいんだもんやっぱ。
というわけで、今回もなんとか懐具合の許す範囲内でとか・・・とっくに超えてんじゃんばかやろう!。当の昔に懐具合は破壊的な壊滅状態となっているが、それでも物欲に負けて泣きながら戦うおさーん。

もうね、とてもタイミングの悪いことに、とても良い状態と思われるものを、それこそおさーんからすれば超絶完品と思われるものを、連発で絶え間なく出品してくる人がいるわけですよ。なんでこんなのこんなにたくさん持ってんのよと。これ見逃がしたら次ないでしょうと。
ところがそういいながら、もう3周くらい絶え間なく出品が続いてるのがホント底なしで恐ろしい。毎週1個づつ同型個体の超絶ビカモンが出品され、もう3回見送っちゃったのよこれ。となれば、まぁおさーん我慢ならんわなあかんわな。ついに辛抱たまらず戦うしかないと。というわけで、ついに、あぁついにキタわコレ!たどりついた時計はこちらドドン!

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またしても裸である。もう仕方ないのだ。身の丈に合う状態ではすでにないのだが、それでも欲しいとなればこうするよりほかに手はなし。

では今回ご紹介するこの逸品、ついに到達した現状のおさーんにとっての最高峰。16サイズ23石のラスボス。レイルロードに公認はされないが、規格をほぼ満たす代物。ただし裸。さしずめ「はだかの王様」といったところか。→誰がうまいこと言えと

これもまた文字盤の状態も結構よい。商品説明にはヘアラインもチップも一切なしとのことだったが、実際はチップ2か所、ヘアライン4本(うち2本は結構長い)があった。だが、ヘアラインは実は今回撮影した写真を拡大してたら気づいたもので、普通は気づかないだろう。チップもほんとに端にわずかなものなので、風防着ければすべて隠れる。だから問題ないといえば問題ないし、普通に見ればめちゃめちゃキレイ。
だけど、写真の解像度が低いeBayでこうした状態を把握するには、出品者の商品説明が唯一の拠り所。
出品者は気づいてなかったのかもしれんけど、容赦なく評価は下げましたよ。破損個所コメに書いてね。同じ出品者の同じ1899マキシマで、ちゃんと破損記載があったものとは落札価格結構違うからねこれ。実際そうしたものより高いもん。そしたらブロック食らいましたわ。もういいやこれで欲しいのほぼそろったから。

ダイヤルはシングルサンクだけど、もうどうでもいいのよそんなの十分すぎだから。だってありえんもんこんなシロモノ超絶完品が手に入るって。なお、おさーんにとってはちょっとした理由もあり、実のところシングルサンクダイヤルでも良かったりもするのである。
ダイヤル、針とも当時の純正まんま。実はこのモデルにおいて、ダイヤルと針は専用品。両方が良い状態で残っているのは結構貴重なのだ。

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7分の端っこ小さいチップ、57分上くらいからほホントに少しのチップとそこから3本のヘアライン。この画像を拡大してたら見つけた。普通に見ると、光の加減でもかなり発見しづらい。この程度は当り前ともいえるのでさしたる問題なし。

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青焼きのキレイな針。スモールセコンドにも欠け割れヘアラインなし。

というわけで、こいつが「アメリカ製懐中時計の代表的なモデルのひとつ」とずいぶん昔に最初に書いた、16サイズ23石のリバーサイド・マキシマだドドン!。
おさーんはついにここに到達したのだった裸だけど。あぁもう満身創痍ですよそうですよ裸だけど。
でもこれでマキシマも0s・12s・16sと揃ったよぉ、いっこ裸だけど。鉄道時計公認のヴァンガードも手に入れたよぉ裸だけど。とてつもなく感慨深いものがあるよぉ。泣ける!泣けるぞこれは裸でも!。→くどすぎ・・・。

さて、ではこれ以上ない超絶仕上げのムーブメントもご覧いただこうドドン!
超絶素晴らしいぞ!

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どうよこの超絶見事なダマスキン。0sでも惚れ惚れするほど見事だが、こちらさすがの16s。ちっこいのとはわけが違う。ぐわーマジですげぇ。

アメリカ製懐中時計、特にウォルサムはこうした模様だが、それぞれのメーカーで特色のある装飾が施されているのは周知のお話だ。このダマスキンがアメリカ製懐中時計の特徴と言ってもよいのだが、なぜこうも派手派手なんだろうと思ったりする次第。
欧州製と違い、アメリカ製はムーブメントを単体で販売し、専業メーカーのケースに入れて使っていたという話は前に書いた。そこでおさーんの勝手な妄想から、時計屋に並ぶのはムーブメント単体なので、おそらく目立ったもん勝ちといった流れなのではなかっただろうとかと。勝手な妄想が炸裂するわけである。

この時計はヴァンガードと同様eBayで落札したものだ。加えて言うと、出品者もヴァンガードと同じ人(業者)。eBayはヤフオクとは違い、時間が来たらそこで「はい終了ー!」なシステムである。ヤフオクは時間延長があるので、気に入らない価格で落とされそうなときなど、怪しげな動きが各所で見られホントむかつくことも多いが、eBayはとにかく時間内に最高額で入札した人の勝ち。したがって、本当の勝負はラスト10秒くらいに繰り広げられるのである。

最終的にどうしても手に入れたくなったので、これなら絶対大丈夫と言える価格を最後の10秒に押し込んで無事落札となったわけだ。ただ、当然のことながらこの時計、側がないのに持っているすべてのどの時計より高価となってしまったのは言うまでもない。また、かなり無謀ともいえる額をねじ込んだので、万一その上限で落札となってしまったら鼻血噴き出て阿鼻叫喚となるところだった。ふぅ。

でももういいのよー、あー聞こえないなにも聞こえない。もういいのほっといてー。→自暴自棄

では気を取り直して時計の素性行ってみよう。
いつものPOCKET WATCH DATABASEから仕様を読み解いてみる。
この時計はモデル1899で、製造年は1901年前後。最初に手に入れた0サイズのリバーサイドと同じ頃作られた時計だ。モデル1899の製造総数は14,000個ほど。グレードはMaximusとなる。オープンフェイスのペンダントセット(龍頭による時刻合わせ)となる時計。

まぁとにかくムーブメントの装飾は超絶見事の一言に尽きる。さすがにこれまで手に入れてきた0サイズや12サイズとはわけが違い、もうひと手間込んだ見事な装飾。同じ16サイズにヴァンガードも先日入手したが、こちら単体では見事な装飾が見て取れるものの、比較するとさすがマシキマの比ではない。もうホント言葉もない。ここまでくるとおさーんにとっては、「まるで」のレベルではなく宝石そのものである。

※参考画像 ヴァンガード16sのムーブメント
s-l500 (6)

で、こっちが16sリバーサイド・マキシマの拡大画像ぐわー。
鏡面仕上げとダマスキンがすげー。

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香箱などの穴車にも見事な装飾と磨きが入る。さすがはMaximusといったところ。

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ブリッジのダマスキンすげー。あと、なんかガンギの上のダイヤでけー!

ウォルサム特許の微動緩急針はスワンネック型。後に特許がとられた星形の方が人気があるのかもしれないが、おさーんはこれで十分だ。例によってテンプとガンギの穴石はペアでダイヤモンドで、各パーツに金無垢素材がおごられる。
というわけで、いつものカタログである。このカタログ、1915年と少し後年のもので若干仕様が異なるかもしれない。

Waltham-RiversideMaximus-1899-23j

お馴染みの文言がずらずらと並ぶが、23石の内訳として、2ペアのダイヤと、ルビー・サファイアを用い、金無垢のシャトンが石押さえとなる。1901年前後の製造なので、宝石はすべて天然モノだろう。温度や等時性に加え5姿勢調整が行われており、バイメタルの補正テンプにブレゲひげゼンマイやダブルローラーなどの機構もおなじみだ。アンクルの爪は1対のサファイアが使われている(サファイアパレット)のも見て取れる。ヴァンガードと同様、鉄製のパーツは研磨され、安全装置付きの香箱を装備。手塗のエナメルガラスダイヤルも健在。記載はないが、金無垢のミーンタイムスクリュー付きチラねじとゴールドトレインもお約束だろう。実物見ると、トレインはすべて同じ部材に見えるので、フルゴールドトレインに間違いないだろう。もうすげーわこれ。

まぁこうした仕様は、0サイズから16サイズまで、多少の差はあれどれもほぼ同じなのだ。0サイズは19石ながら同じ仕様というのも、改めて考えるとすごいなと思うわけである。

で、今回のモデル1899マキシマ。以下に画像を数枚並べてみよう。
トレインがちらりと写るが、2番・3番・4番とも同じ部材に見えるだろうか。

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ガンギ上のラフカットのダイヤがキラキラだ。
ヴァンガードだとこう。ほら、もう2番車以外は色合いも仕上げも違うでしょ。

※ヴァンガードの2番車と4番車の違い
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というわけで、フルゴールドトレインと2番車だけがゴールドトレインの差はこんな風に見てもわかるのである。まぁ勝手な妄想と聞き流していただいてよいが、いつかメンテに出すときに確認してもらうとしよう。

で、ダイヤルは0s初号機モデル1900同様な手塗ですな素晴らしい。作られた年代がほぼ同じ時期なせいか、文字盤の見た目も初号機とよく似ている。
先に書いた、このダイヤルでよかったのは、まさにこれがその理由。0サイズ初号機と並べると、同一文字盤の大きさ違いと、まるでペアウォッチのようだ。
というわけで、0サイズ初号機のダイヤル画像を載せておく。大きさは3倍ほども違うけど、よく似ているのがわかると思う。

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さて、ケースだが、実はケースをひとつだけこっそり持っていたりする。こうなることを予測してか、あらかじめ手頃な金張りケースをeBayで購入しておいた。キズやヘコミもあるし一部剥がれもあるが、10K程度と思われる20年保証のケース。1899マキシマには格が合わない気もするが、限られた原資でなんとか手が届くようにするには、側より中身を優先するのがその戦略。まぁケースは買い替えればいいしね。→ヴァンガードをとりあえず入れてみたケースがこれ。

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さて、懐中時計シリーズも4つ目となり、リバーサイド・マキシマも各種サイズで3つ目。
もうね、この上にもまだいくつかあるんだけどね、小遣いレベルではこれ以上は無理。高額なものはここでいったん打ち止めとすることにする。
アメリカ製の懐中時計のハイグレードを最初に見て、あの時ものすごく驚き、感嘆したそのままの懐中時計が、なんと手元にあるわけですよ、しかも各種サイズで3つも揃って。もう何もいうことないでしょこれ。

ひとまずこれで置いといて、お財布が回復したら一度メンテも考えたい・・・などという優等生発言はおいといて、ここまで来たならいっそのこと全部いったろか。
モデル制覇は無理でもサイズ制覇くらいならいけるかもだ。残りの6sと12sいったるか。
10sはリバーサイドじゃなくてコロニアルーAマキシマだから抜いてもええやろ。

マキシマ集めて喜ぶクソにわか。あいつ痛いわー的な。
これくらいがおさーんにちょうど良いかもしれん。

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Waltham Riverside
製造年月:1901年前後
モデルナンバー:Model1899
グレード:Maximus
生産数量:14,000個
キャリバーナンバー:10530053(手巻)
サイズ:16s(43.18mm)
石数:23石
ムーブメントタイプ:オープンフェイス
ムーブメントセット:ペンダントセット
振動数:18,000/時(5振動)
ケース:なし
文字盤:シングルサンク・エナメル・ガラス文字盤