古時計シリーズである。見ていただいている方なら、このタイトルで今回の時計が何なのかは先刻ご承知のことかと思う。ここまで、かなりさまざまな時計を手に入れたかと思うのだが、いつまで経っても今なお一番手のロードマーベルだ。
 
というわけで四の五の言わずとりあえず見ていただこうかと思う。
どうぞドドン!

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見慣れた感じではあるが、なかなか良いたたずまい。だが、これおさーんにとっては初物かつ、ひそかに1年以上ずっと狙っていたものだった。

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えーこのとけいは、せいこーのろーどまーべるといいまして・・・以下略。
だからもう口上はいいって?。あ、そう?。

ここまで集めたロードマーベルは、初期型だけに絞り込んでも、最初に偶然手に入れた「はまぐりのなかのはまぐり」であるケースナンバーJ14039を2個を筆頭に、14KGFのJ14068E・SSのJ14038・最初期14KGFのLロード14057がそれぞれ各1つずつ。加えておまけのドナーキャリバーひとつで計6個。
でもこれまだ一部で、ほかにも中期やら後期やらハイビートとかで同じくらいの数がある。

全く我ながらアホだなどうすんじゃこんなに。しかも初期型以前はもったいなくて身に着けておらず、ドライボックスの中に置いてあるだけだもんな。
だがまあ、こうして身銭を切って確認しているからこそ、こうした記事も書けるというものだ。

で、この一見何の変哲もない、しかも「はまぐりのなかのはまぐり」でもないコレがなんですのと。
これのなにが「やっとこさの古時計」なんでしょうと。

というのもね、この一見「はまぐり」、実は「はまぐり」じゃないのね。
おさーんの妄想なんだが、このモデルのケースナンバーは多分14057なんだろうなと。14057っていうナンバーは、上にも書いてあるけど、SロードとLロードのケース。「はまぐり」以前の最初期モデルで使われているケースだ。加えて、インデックスも最初期のものを使っているという、ちょっと変わりダネな時計。

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なんかGSファーストみたいな出で立ちだなこれ。はまぐりが至上と思ってたが、意外といいぞ。

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横から見たの図、ケースサイドが直立しており「はまぐり」とは似ても似つかないケース

ここから書くことはあくまでおさーんの妄想だが、今回手に入れたロードマーベル初期型は、実は初期「はまぐり」ではなく、最初期の「SロードのSマークなし」又は「Lロードの製品ロゴが普通のもの」ではないかと。以前記載した「ロードマーベルの系譜」でご紹介したこともあるので、覚えている人もいるかもしれない。
いずれご紹介しますと言ってから1年半も経ってしまった。月日の経つ速度は恐ろしいのである。ようやく公開順が回ってきたので今回ご開帳だ。



で、話を元に戻すと、「SロードってSマークあるからSロードやないんか!」とか、「Lロードでペットネームロゴ普通ならそれはまぐりじゃねーのか!」とかツッコミどころ満載で賛否両論魑魅魍魎。
なんかわけわからん説明だが、とにもかくにもこいつはロードマーベルのいわゆる初期ではなく、最初期モデルに相当するとおさーんは勝手に思っている。なお、パッと見「はまぐり」なのに「はまぐり」ではないとおさーんが言い切るのは、以下の理由からだ。
  • SSの裏蓋がはまぐりではない(Sロード・LロードのSSモデルと同じ)
    (だがその実、SSのSロード/Lロードと同じ円錐型の裏蓋と、はまぐりSSと同型裏蓋の2つが存在しているのも確認している)
  • ケースサイドが直立しており、どこをどう見ても「はまぐり」ではない
    →「はまぐり」は実物のケースを触ってみれば「あぁなるほど」とその謂れもわかるくらい、まさに「はまぐり」の感触
  • インデックスが最初期のクサビ型を使っている
そもそも「はまぐり」はケースがはまぐりのような形状なことからの呼称。ケース形状があきらかに「はまぐり」ではなく、最初期のケースとインデックスを纏うこの個体は、最初期としても差し支えないだろうと思う。

なお、おさーんのこの時計に対するお見立ては、「SロードのSマークなし」というより、「Lロードの製品ロゴが普通」な時計で、「はまぐり」販売直前のモデルではないかと考えている。
機械番号や製造年度などでそうした推測は可能である。後ほどそのあたりは紹介しよう。

では少し詳しくみてみよう。
正直な話、ムーブメントは最初期のローンチ以外は変わらん(といっても耐震がS-2ではなくS-1耐震で穴車の加工が少し違うだけの些細な話)ので、違いはケースと文字盤といった見栄えのみだ。
だが、Sロードなどは、単なる見栄えの差だけでトンデモな値を付けるので、見栄えもおろそかにできんということか。(さらにペットネームのロゴが金色だったりするとさらにトンデモなくなる)

◆最初期のインデックスを纏う時計

というわけで、まずは文字盤から見てみよう。
SロードやLロードといった最初期のインデックスは、極初期の別インデックスを除き2種類のパーツで構成されている。クサビ型と、長方形バーインデックスの2種類だ。(極初期の別インデックスはクサビ型1種類)
「はまぐり」以降は基本バーインデックス1種類(12時インデックスは2つ並べた幅で一体成型と思われるので厳密には2種類になるがまぁここでは1種類としておく)

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まぁ目を凝らしてよく見ないとわからないのだが、3時・6時・9時・12時以外のインデックスがクサビ型なのが見てわかると思う。

一応参考のため、おさーんのLロードと「はまぐり」をならべておく。上から「Lロード」・「今回のモデル」・「はまぐり」の順番だ。
こうしてみると違いがよく分かると思う。上二つのインデックスは同じ部材を使っている。

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◆「はまぐり」とのケース比較

次にケース。
同じ確度で撮影した、今回のモデル・はまぐり(J14039)の2つを並べておく。
LロードとSロードはほぼ同じケース(ラグ穴の有無程度)。Lロードとラグやケースサイドの形など、Lロードによく似ているのがご理解いただけると思う。
「はまぐり」のJ14039は、ラグの角度が浅いので、二つ並べて平面においてみると、ケースの厚みと相まって、その厚みはかなりの差となる。

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手前が「はまぐり」、奥が今回手に入れたロードマーベル。

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◆Lロードと比較してみよう

今度はLロード(右)と今回のモデル(左)を並べてみた。ラグ穴の有無の違いはあるが、ベゼル・ラグの形状やラグの角度は同じだった。

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続いて裏蓋。右がLロード。左が今回のモデル。違いは判らんなこれだと。

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文字盤。Seiko Lord Marvel のロゴ以外に見た目の違いはなし。

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「はまぐり」も加えてみるとわかるが、Lロードは文字盤自体がやや小さい。
今回手に入れたものと「はまぐり」は、ベゼルいっぱいにインデックスが配置される。
また、6時側の耐震装置と石数表示やSDマークの位置も左ふたつは同じである。
なお、「Daishock 23 Jwels」のプリント、石数の文字は小さいが、これが大きくなるのは「はまぐり」の途中からなので、文字が大きい個体は存在しないと思う。

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では、一応中身も見せておくか。これだけは初期も最初期もまぁ変わらんけどね。

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裏蓋にはケースナンバーと "Lord Malvel" ペットネーム刻印はなかった。ロードマーベルでこれらの刻印がないものはこれ以外に見たことはないが、過去にいくつか見た同型14KGFの個体も、同様にこうした刻印はなかった。
同型SSの裏蓋はSロードやLロード同様、円錐型ではまぐりの蓋ではない。刻印は最初期やはまぐりのSSと同様、裏蓋表側に彫られている。そのほとんどの個体でかすれて消えているのだが、一部残る個体で確認できたケースナンバーは14056と、予想通り最初期ケースだった。

◆いつ頃造られたものなのか

ムーブメントに刻印される機械番号だが、最初期は機械番号が香箱受けに刻印されており4桁だ。その後「はまぐり」の途中で6桁刻印となり、2番車受に刻印位置も移された。
おさーんの持っている時計では、Lロードが1959年2月製造で、機械番号は5902が刻印されている。
今回手に入れたロードマーベルは、1959年5月製造で、機械番号は5920。
「はまぐり」四号機は1959年5月製造と、奇しくも今回手に入れたものと同年同月製造。機械番号は5937だ。
他に同型個体で、機械番号と製造年月が確認できたものがわずかながらかあったが、どれも同様に今回手に入れたものと機械番号や製造年月は近く、おさーんの持っているLロードより後のものばかりだった。

機械番号のナンバリングは、はっきりしたことが分かっておらず謎なのだが、多少の前後はあったとしても、概ね機械番号順に製造されたであろうことことは推測できる。また、製造年月も組み合わせて考えると、Lロードの後に今回手に入れたものが製造され、「はまぐり」に切り替わったと想定できる。

ま、物的証拠だけによるいつものおさーんの妄想なので、真偽のほどは定かではない。加えて同型個体で機械番号と製造年月の両方を確認できたものは、この個体を含めてわずかに4つほどである。よって、眉唾程度で見てほしい。

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というわけで、おさーんがこのSロードだかLロードだかよくわからん時計の存在を知ったのは、「はまぐり」を集めだした頃のお話。
だが、知っちゃった上に結構モノが出てくるとなれば、手に入れないことには「はまぐりバカ」の名折れだ。よって、これをなんとかして手に入れるべく毎回参戦を重ねていたのだった。
これ、画像をよく見ないと簡単に見過ごすので、見つけるのもなかなか大変。だから「やっとこさ」なのだ。

この時計、SロードやLロード同様、短期間しか販売されおらず、数も少ないのではないかと思うのだが、どういうわけか、わりとよく出てくるのが不思議。さすがに「はまぐり」とまではいかないが、SロードやLロードに比べると、目にする機会は圧倒的に多く、かなりの数をこれまで見ることができた。いやマジで結構な回数参戦したからねおさーん。知ってから手に入れるまでの間、何度もずっとやってたから。

数が少ないと思われるのに、結構な頻度で出てくるのは、多分ふつうに「はまぐり」と思われてたのではないかと思う。出品時にそういう但し書きしてるものはほぼなかった。
或いは、実は結構数があるのかもしれない。Lロードって確かに希少性はあるのだが、お世辞にもカッコよいとか見栄えがよいとは言えない気がする。字体は変えてみたものの、実はあまり人気がでなくて、慌ててロードマーベルのロゴだけ元に戻したとか。→いつもの勝手な妄想

いずれにせよ、この時計はマイナーチェンジの域を出ていないか、もしくは、とある生産ロットだけの仕様ではないかとおさーんは考えている。
その理由としては2つ。ひとつは、この時計の存在が、これまでほとんど触れられていないこと。過去にWebでこの時計を見かけたのは1例だけで、「SロードのSマーク無し」の一文とともに、写真が紹介されてるのみだった。
そして、もうひとつはセイコーのカタログから。
以前もご紹介したが、Lロードのカタログをみていただこう。1959年のセイコーのカタログだ。
英語表記だが、日本語版のカタログだ。

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ここに映るロードマーベルは、まぎれもなくLロード。モデル名らしきLM-1の表記があるのがお分かりか。では次に翌年の1960年のカタログをみていただこう。

1960_catalog

こちらに記載されているのは、インデックスがクサビではなく、すべて長方形なので「はまぐり」になる。このページは絵で描かれたものらしく、SD文字盤マークがないのはご愛嬌か。そして、こちらに記載されるモデル名らしき表記はLM-2。
Lロードはカタログに掲載される正式なモデルであり、型名らしき番号から「はまぐり」との間に入るモデルはなさそうである。仮にLロードより前だとしても、LM-1の前に記号があるとしたならLMくらいしか思いつかず、あるとすればSロード以外にあり得ないと思われる。

こうした推測の真実はいつものごとく闇の中で、今更追及も厳しい。だが、まぁどうでもよいっちゃどうでもよいし、これもロードマーベルに変わりはない。
このように重箱の隅つついてる方が異常なだけで、こんなのはおさーんのような「はまぐりバカ」だけが自己満でやってればそれでよい。

というわけで、手に入れてみたこの時計、意外と悪くないというか、単体で見てもたたずまいやまとまりが非常に良く、着けてみても意外としっくり馴染む。これはかなり気に入ったおさーん。
「はまぐり」に後で追加されたエッジのだるいJ14068とかJ14068Eより断然良い。
加えて、この時計はおさーんにとって、知る人ぞ知るサイドストーリーを持つ時計。こうした話は大好きだ。

ちなみに、この時計を手に入れたのは2年程前だ。その頃は気づいた人からはやや胡散臭いシロモノと思われたのか、明らかに「はまぐり」よりも相当値段が安かった。だが、以前の記事でご紹介したころから様子が変わり(たまたま時期が一致してるだけで記事の影響なワケない)、今はかなり厳しい値段になってしまった。そんなわけで、一見この胡散臭いモノも最近は一応認識されたのかと考えている。

これ、ケースナンバーJ14039の「はまぐりのなかのはまぐり」同様、たぶんずっと持ってる時計になると思う。着けてみたらそれくらい気に入った。
ちなみにこの個体はメンテナンス済み。裏蓋内側のサインが精計堂であった。

最後にこの時計だが、先にも書いたように、情報が出てないわりに表に出てくる個体が多いので、何か呼び名が欲しい。何か考えようと思ったが、良い呼び名が思い浮かばん。仕方ないので、以前も書いた「クサビはまぐり」とでも当面呼んでおくことにしよう。はまぐりじゃないけど。

というわけで、今回ようやく手に入れたクサビはまぐり、これはとてもよい買い物だった。

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セイコー ロードマーベル
製造年月:1959年5月
モデル名:不明
キャリバーナンバー:なし(手巻)
ケースナンバー:刻印はないがたぶん14057(最初期ケース)
ペットネーム:なし
石数:23石
振動数:18,000回/時
ケース:14KGF(80MICRON)
文字盤:SD