なんと下書きのままで公開設定をしていなかったので、記事が予定通時刻に公開されないというミスを犯してしまった。まぁたまにはこういうミスもある。
最近は梅雨のためかなり鬱陶しい気候である。時計にはこの先秋までほぼお眠りいただく季節の到来だ。なお、自宅警備員引きこもりサラリーマンと化したおさーんにとっては、あれほど嫌だった雨も、「洗濯物が乾かん」くらいの愚痴となったのは幸い。今は家から出なければそれで済むのだ。

さて、少し前に厳しいと思われた6sのリバーサイドマキシマを運よくゲットしたお話を紹介したが、舌の根も乾かない間に、もうひとつ別の懐中時計が出てきたので今回もぬかりなくゲットしておいた。手に入れたのは12sのModel1894だ。

実のところ、Model1894は近しいものをすでに持っている。2番目に購入した14sのコロニアルシリーズがそれ。コロニアルの文字盤は14sだが、ムーブメントサイズは12sという変わり種で、ムーブメントのベースはこの時計と同じModel1894だ。だが12sのオリジナルは持っていないので手に入れることにした。この時計、実はちょっと勘違いもあり失敗してたりするのだが、ラッキーが判明したこともあり、プラマイゼロといった買い物だった。

今回も裸。さすがに裸も板についてきたかおさーん。あとで別にケース買えばいいじゃんといった甘い考えになりつつあるのが透けて見える。

s-l1600

ダイヤルはオリジナルでダブルサンクのマキシマダイヤルだが、文字盤にヘアラインや割れが比較的目立つ。さらにダイヤル側地板にも錆が。針は替えられており、その状態もイマイチ。針は今でも売ってるので交換すればいいか。どうせ元々マキシマの針じゃないし。(マキシマはそれ用の針がある)
だが、このあたりは購入前からわかっており、その分相場よりかなり安いのでヨシとする。

というわけで、いつものPOCKET WATCH DATABASEをひも解く。
生産年度は1902年頃。Model1894 Riverside Maximusの生産個数は9,863個。
この時計、シリアル番号で検索すると、石数が23Jと出てくるのだが、これが勘違いの元。
おさーんはまず最初にシリアルで検索して、時計の素性を隅から隅まで見る。ここでおさーん、23石でこの値段ならまぁええやろとお金を突っ込んだ。ところが、購入後再度写真をいろいろ見ていて、あれ?これ21石じゃね?となったわけ。
うかつであった。POCKET WATCH DATABASEというか、Gray Bookにも間違いがあることは知っていたが、あまりにうかつであったわ。まったく。

では、ムーブメントどうぞ。

s-l1600 (4)

以前、コロニアルの紹介の際にムーブメントもご紹介したが、あれと中身は同等。カタログスペックでの違いは微動緩急針が違うタイプを使っていることと、石数が21石になることくらいだ。また、搭載する機能はいつもの鉄道規格準拠の内容とほぼ同じ。

で、多少程度が悪くても購入に踏み切った理由のひとつが、価格に加えてムーブメントの造りにある。
写真を眺めていて気付いたのだが、このムーブメント、写真で見る限りフルゴールドトレインかと思われた。すでに持っているコロニアルのModel1894は、年代がもう少し後に生産されたこともあってか、ゴールドトレインは二番車のみだ。
ここまで、0s・6s・16sとフルゴールドトレインを所有するおさーんは、既に持ってるModel1894でも、フルゴールドトレインで安ければ、多少の程度は目をつぶったのだった。

というわけで、結果的に21石(というかよく見ていないだけなのだが)でも、フルゴールドトレインならまぁええか。

写真のみでそんなのホントにわかんのかと言われれば、実物と写真を繰り返し見てればかなりわかるようになるから不思議なのである。今は出品写真で間違うことはほぼない。ま、実物含めとにかくたくさん見て眼を慣らすのが重要だけどね。
というわけで、届いた実物で確認してみよう。今回は届くのに1か月近くかかったので、実物検証が待ち遠しかったな。では見てみようぞ。

うむ、やはりこれフルゴールドトレインだよ素晴らしい。→まぁ勝手におさーんがそう判断してるだけで検査したわけではもちろんない
そしてさらにだな、いやちょっとコレ写真じゃ気づかなかったけどええですやん。
これ、テンプとガンギだけじゃなくて、アンクルの伏石も白いですやん。いやここもダイヤかよこれ。
これが噂に聞く3キャップダイヤモンドか。あるとかないとか噂には聞いてたけどね。
フルゴールドトレインは他にもいくつか持っているが、3キャップダイヤモンドは初めてだ。21石なのにすげぇなこれびっくりだよホント。いや文字盤側の状態というか程度はちょっとアレだけど、この時計造りがすごいわ。これは思わぬラッキーな出来事よ。
これは良い買い物だきっと。→と自分を納得させるしかないおさーん

コロニアルの時にカタログは紹介したが、今回も一応貼っておこう。POCKET WATCH DATABASEからの引用。

Waltham-RiversideMaximus-1894-12s

このカタログは、1914年のものなのでかなり新しいものになる。23石のカタログ。
内容はいつものアレなので、過去記事を読んでいただきたい。

こうして何度もカタログや仕様を眺め、解説していると、さすがのおさーんもわかってくる。一定のグレード以上となると、カタログスペック上の造りはどれも基本同じなのである。ウォルサム以外はよく知らないおさーんだが、アメリカ時計は基本鉄道時計規格縛りなので、他もさほど変わりないだろう。

「アメリカ製懐中時計は品質が高く、造りもよいのにとてもお値打ちだから初心者にお勧め」というのは耳にタコだ。これ、つまるところ、確かにモノは良いが、代わり映えもしないので、ひとつかふたつあれば充分ということなのだ。欧州モノに比べ、高品質な割に値段がお手頃なのは、とにかく数が多いからである。比較的高価なマキシマクラスでも、100年以上経過した現在ですらその数は相当あり、割と容易に入手できる。

数が多いというのは曲者で、コレクターからすると魅力は半減。とにかくレアなものを安く買うか、クソ高いものを買って自慢したいのがコレクターの心情というものである。
多分に漏れず、もちろんおさーんもそうなのだが、おさーんはまだ入り口なので、それこそゴミでもなんでもかんでも集めている幼稚園児なのだ。
100年以上たってもこの状態なら、この先そう簡単に高騰することもあるまい。まして収集人口の少ない懐中モノならばなおさらだ。
そんなわけで、幼稚園児にとってはまだまだおいしい領域なのがアメリカ製懐中時計。こうしたフルゴールドトレインとか、3ダイヤとか、まだまだカタログに表記されないポイントもいくつかある。こんなお宝に巡り合えるのはなかなか楽しい。

おさーんはもう少しこのあたりをうろうろしつつ、そろそろアメリカ製の他メーカーも探してみるかと考えているところ。
まだまだアメリカ懐中を楽しむつもりだ。

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メーカー・モデル:Waltham Riverside
製造年:1902年
モデルナンバー:Model1894
グレード:Maximus
生産数量:9,863個
キャリバーナンバー:12075837(手巻)
サイズ:12s(39.79mm)
石数:21石
ムーブメントタイプ:オープンフェイス
ムーブメントセット:ペンダントセット
振動数:18,000/時(5振動)
ケース:なし
文字盤:ダブルサンク・ガラス・エナメル文字盤