今回は、ちっこいリバーサイド。女性物ジュエルシリーズのリバーサイドだ。
ムーブメントの大きさはパトリシアンと同じサイズで6/0s(25.4mm)。

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見ての通り、ダイヤルは残念なきったねぇ状態。おまけに風防もない時計。
実はこの時計、側の直径は4cmほどありムーブメントに比べかなり大きい。そしてその大きさから見るととにかく極薄。
見た目ジャンクっぽいが、側やダイヤルはどうでもよかった。狙ったのは中身だけだったのだ。

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※ヤフオクより引用

そしてクラウンもなし。やっぱどう見てもジャンクやったこれ。
小さいムーブメントが大きな時計にどうセットされているかは裏をご覧あれ。またこの時計、珍しくスナップバックの裏蓋だった。これを外すと以下のような状態となる。さすがにこの薄さだとスクリューバックはきついということか。

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※ヤフオクより引用

ムーブメントがこんなちっこい。でもこうしたものはたまに見かける。小さなムーブメントを使えば、簡単に極薄懐中時計の出来上がりということで、見た目やデザインもスタイリッシュにできる。多分こうした時計の呼び名があるのだろうが、あいにく不勉強で知らないおさーん。

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ケースにはこのようなエングレービングが施されている。
加えて、ADJUSTED刻印がケースとムーブメント両方に付く。ケースはステンレス素材だ。

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さて、今回の本命であるムーブメント。実はこの時計からムーブメントを取り出して、以前手に入れたウォルサム腕時計のムーブメントと入れ替えたいのだ。あの腕時計のムーブメントは、懐中時計のモノではなく、腕時計用に手直しされたものだろう。こちらは正真正銘懐中時計のムーブメントで、グレードもリバーサイドとくれば、このサイズならミドルというよりハイグレードに近いもの。
このサイズのスタンダードなRubyやSapphireでもよかったけど、なかなか出物が見つからなかった。これはケースと文字盤だけがジャンク。そのためお値段お手頃でとても都合がよい。

では、このムーブメントをご紹介していこう。

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このムーブメントはModel1912のリバーサイドグレード。1912年製造で6/0サイズの17石だ。調べてみて気づいたが、リバーサイドは製造数がかなり少く3,200個しかないらしい。
以前パトリシアンの記事でご紹介したが、ウォルサムのこのサイズはジュエルシリーズと呼ばれており、ルビー、サファイア、ダイアモンドといった銘がムーブメントに付く。いかにも女性向けなムーブメントといったところ。

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timezone.comより引用

また、このサイズは一部のグレードを除き、調整は行われず組み立て後そのまま出荷される。調整が行われるのは、上位グレードのリバーサイドとマキシマ(ダイヤモンド)だけだ。
画像にあるADJUSTEDの刻印が調整済みであることを示しており、このサイズではこの刻印が上位グレードであることの証となる。

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仕様は基本的に以前ご紹介したパトリシアンがリバーサイドグレードであったことから、あれに準ずるが、このリバーサイドには微動緩急針は実装されない。パトリシアンには実装されていたが、あれはかなり特別。パトリシアン以外で、このサイズに微動緩急針が付いているものはマキシマ(ダイアモンド)しか見たことはない。
なお、この時計の仕様は大まかにこんな感じ。
  • ルビー、サファイアを使った17石
  • テンプの伏石はサファイア
  • センターホイールのみゴールドトレイン
  • レイズドドシャトン、ミーンタイムスクリュー
    (シャトン、ミーンタイムスクリュー共に多分金無垢)
  • ガンギはスチール製
  • 等時性、温度、姿勢による調整済み
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大きい懐中時計であればミドルグレードなリバーサイドだが、このサイズでこの造りだともう少し上位。これが腕時計に入るなら、まさに懐中時計の高級ムーブメントを使った腕時計の出来上がり。
あ、ジャンクっぽいですけどちゃんと動くからこれ、時計少し振るとちゃんとテンプ反復運動するし、なんなら歩度もそれほど酷くなかったから。
RubyやSappireをなんとかと思ってたから、Riversideなら超嬉しい。早く取り出して、腕時計にセットしたいなと考えるおさーんであった。



などと、ここまで詳しく記載したところで、そろそろシメをひとこと書いて記事化完了!よっしゃ終わり!と考えたところまでは良かっだが・・・。

手に入ったのが結構嬉しくて、届いたそばから今この記事を書いているおさーん。
そして今、現在進行形でホント今たった今、ふと頭をよぎる不穏な影。

あん?、ちょこれ待てよ。

うわーん!これオープンフェイスやん!あかんやん!!!

なんで今の今気づくのか。
なんということ幼稚園児か貴様!。センターセコンドならこれでも大丈夫だが、スモールセコンドなウォルサムの腕時計は、ハンタームーブメントじゃないとダメなのであった。
何がダメかというと、このままはめてもはまるにははまるが、秒針位置が6時じゃなくて9時にきてしまう。文字盤と位置がズレるのだ。

おさーん一世一代の不始末。記事化のおわりに気づくとは。

この記事、普通なら当然ボツだが、せっかくここまで記事仕上げて没稿もあまりに悲しい。なのでこのまま出稿することにする。もういいそうする。
そして、墓場行きシリーズにもおそらく登場の予定であるうわーん!

なんかいい活用方法ないじゃろか。


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メーカー・モデル:Waltham Riverside
製造年:1919年
モデルナンバー:Model1912
グレード:Riverside
生産数量:3,400個
キャリバーナンバー:18112165(手巻)
サイズ:6/0s(39.79mm)
石数:17石
ムーブメントタイプ:オープンフェイス
ムーブメントセット:ペンダントセット
振動数:18,000/時(5振動)
ケース:メーカー不明、ステンレス製オープンフェイス
文字盤:よくわからんが、多分メタルにペイントされたモノだと思われる