このサイズは、もうこれ以上ない充分なモノを手に入れたので、単なるチェックだけだったはずなのだ。だがしかし、いろいろ悩んだ挙句に買ってしまった。
今回入手した時計は、相も変らぬウォルサムのリバーサイド・マキシマだ。Model1899で16サイズ23石。そう、以前ケース無しのムーブメント単体で入手した、かつてのおさーんのラスボスそのものであり、2個目である。

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リバーサイドマキシマは、大小さまざまなサイズで展開されたウォルサムのトップグレードのひとつ。中でも16サイズのマシキマは、高価な部材を贅沢に使い、ムーブメント全面にちりばめられたダマスキン装飾によって、とりわけ贅沢で美しいハイグレードモデル。

ウォルサムには、16サイズで言えば、リバーサイド・マキシマより上位かつ、さらに希少で高額な時計がいくつか存在するが、こと名前だけで言えば、16サイズのリバーサイド・マキシマは、間違いなくウォルサムを代表するモデルだろう。

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※微動緩急真の位置は真ん中で精度バッチリ!これぞ整備済みの威力!

なお、この時計の仕様は過去記事で紹介しているので、ここでは簡単な列挙のみにとどめる。詳細な仕様は、前回手に入れた際の紹介記事を参照してほしい。
以下は今回手に入れた時計の仕様だ。
  • 1901年製のウォルサム リバーサイド・マキシマ
  • 16サイズで23石
  • オリジナルのダブルサンクダイヤルと針
  • ガンギとテンプの伏石はダイヤモンド
  • フルゴールドトレイン・ゴールドシャトン・ゴールドミーンタイムスクリュー
  • キーストン社製 14K金張ケース
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各サイズに展開されたマキシマのダイヤルと針は、他のモデルとは異なる専用パーツが奢られており、この時計はどちらもオリジナルの部材がちゃんと揃っている。
特にダイヤルはキズミで観察したが、ダイヤル端のほうにヘアラインらしきものが(汚れかもしれない)1本確認できたのみ。針も含めて状態がとても良い。

これまで多くの懐中時計を見てきたが、マキシマで針とダイヤルが両方しっかり揃う個体は意外と少ない。また、ダイヤルは焼き物なので、ヘアラインはあるのがわりとあたりまえ。チップ(欠け)などがあるものも珍しくはない。
何せ100年以上経過した工業製品だ。たとえ針とダイヤルがオリジナルでも、結構無残なモノが多いのだ。

さて、今回の弐号機は、確かに初号機より状態は良い。だが、初号機とて、弐号機同様オリジナルのダイヤルと針がきっちり揃い、状態だってそこらのモノより良いのだ。なぜあえて弐号機に逝ってもうたのか、それをこれからお話していこう。

つーか、いつもながら前置きが長いんじゃ。

実のところ、弐号機の購入絶対額は、初号機の倍以上と超絶高価だ。
だが、おさーんにとって、今回の時計は相対的に見て超絶安いという複雑な状況だった。
結果(まぁほぼ瞬時なんだが)おさーんの中で、相対額が絶対額に勝った。

購入したのはヤフオクだが、入札したのはおさーんのみ。最後まで誰も手を付けなかった。

だが、なにせ額が額なので、衝動買いで済まされる話では微塵もない。嫁にバレたら土下座どころではない。おさーんはこっそり虎の子資金を投入し、この時計を手に入れたのだった。

さて、実は弐号機、これまで手に入れてきた現状品とは異なり、整備済みなのである。1年前にしっかりとしたメンテナンスがなされ、現状のままで動作に全く問題がない。常にスマホで正確な時間を得られる現在においても、このまま日常使用に耐えるレベルだ。

メンテナンスの裏付けは、時計に付いてきた1年前の整備明細保証書。保証期間は2年の長期保証で、入手時は保証期間がまだ1年残っていた。

この時計を整備し、2年の自然故障保証を付けたお店は、吉祥寺の超有名店であるマサズパスタイム。日本で懐中時計といえば、真っ先に名が挙がるのがこのお店だ。
このリバーサイドマキシマは、そこで整備された時計だった。

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以前マサズパスタイムへ訪問した話は記事に書いた。その際、時計のメンテ費用を確認したが、初回整備ならひととおり手を入れて、最低でも15万円くらいがミニマムコスト。加えて損傷個所に応じて追加費用が追加されるそうだ。

通常の初回整備の内訳は、基本整備(分解・洗浄・注油・組み立て)に加え、天真の製作・交換を行うらしい。初めてメンテする懐中時計で、天真がまともなのはまずないらしく、別作交換するそうだ。

交換した部品については2年間の保証が付く。加えて、保証期間が切れるまでに再度メンテナンスに出せば、基本整備料金(基本整備料金は時計により4~5万ほど)が割引かれる仕組み。

入手したマキシマは、さすがのマサズというべきか、一般店舗の簡易整備とは次元が異なっていた。なにせそのコンディションが、軽く100年を超える時計と考えれば素晴らしいというより凄まじい。

◆正しくメンテナンスされた懐中時計の実力とは

現在おさーんは在宅勤務。こうした時計の携帯にも自宅なら不安がない。
そこで自宅を中心に1週間携帯し、身に着けるときと外すときの1日2回、実際の時刻と時計の時刻の時間差を計測した。
朝ゼンマイを巻いて着用し、夜時計を平置きで保管。翌朝またゼンマイを巻いて着用するという流れで計時を実施した。

計測は時計の0分又は30秒時に、JJY(日本標準時)シミュレーターアプリの時刻と目測比較。毎朝は毎日7:00頃、夜は寝る前や風呂に入る際に時計を外したタイミングで1日2回計測。時間差の記録を行った。

マキシマは秒針規正が無い時計なので、初日に時刻のずれを計測してからスタート。最初に計測した時間のずれは-31秒だった。

1週間後に出来上がったその結果は、一言でいうなら、うそん!?。
こんなんびっくりするわ。

  • 初日 :日差-4秒(着用時:-1秒 平置き:-3秒)
  • 二日目:日差-4秒(※夜の計測を忘れたため不明でつ)
  • 三日目:日差-4秒(着用時:-4秒 平置き:-0秒)
  • 四日目:日差-2秒(着用時:-1秒 平置き:-1秒)
  • 五日目:日差-5秒(着用時:-4秒 平置き:-1秒)
  • 六日目:日差-4秒(着用時:-3秒 平置き:-1秒)
  • 最終日:日差-7秒(着用時:-5秒 平置き:-2秒)
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  • 結果発表ー! 週差:ー30秒 平均日差:ー4.3秒
    (計測中の着用時間は18~20時間ほど、平置きは4~6時間)

実際毎日うそん!の連続。3日目まで日差が毎日ー4秒でカハァ!。製造後120年超えてんですけどこれ。

ともあれ、8日目の朝に最後の時刻測定を行った。
時計が0秒ちょうどを指したとき、アプリ側は翌分の1秒を表示していた。その時刻差はー61秒。
だが、初日のずれ(-31秒)を加味すると、初日からの精度は計ったようにぴったり-30秒!。
1週間動いて平均日差はー4.3秒とかやってくれるわ。
平置きじゃないからねこれ。着用してたまに時計見たりしててこれだから。

しかも、整備直後ではなく整備後1年経過時でこれとか。整備された120年前の古時計がたたき出す精度がなにそれ怖い。

マサズパスタイムで整備を受けたこの時計は、まさに鉄道時計規格を彷彿とさせる状態を維持していた。適切な整備というのはこういうお話ですかそうですかわかりましたごめんなさい。

というわけで、噂通りの恐るべし測定結果だったのだが、懐中時計というのは腕時計に比べると著しく姿勢による影響が少ない。
懐中時計は姿勢が所謂ペンダントアップ(12時上)の位置にあることがかなり多く、腕時計の様に3次元で傾くわけでも遠心力が加わるわけでもない。
ということで、元々懐中時計における精度の諸条件は、腕時計よりも緩いことは明確で、かつ懐中時計は腕時計より大きいことから、精度の諸条件において物理的にかなり優位であることは記載しておこう。

◆メンテナンス時の作業内容

では次に、この時計に施された整備内容をみていこう。
弐号機にはマサズパスタイムの整備明細が付いており、保証書を兼ねていた。そして、この時計が1年前に受けた整備は以下の内容だった。
  • 基本整備(分解・洗浄・注油組み立て・精度調整)
  • 天真製作・交換
  • 香箱緩み整備(地板のホゾ穴及び香箱の調整)
  • ヒゲの錆落とし、スチールパーツのさび落としと面取り
  • ヒゲ回り、テンプ周り調整
  • アンクル芯上下ホゾ研磨と加工
これでおよそ15万円ほどの整備内容だ。先のミニマムコストはこうした内容なわけだ。確かに金額だけ聞くと高いが、作業内容とその実測結果を考えると、おさーんは至って妥当と考える。
何より120年以上前の懐中時計が、今でも当時の性能に近い状態であることに大きな価値があると思う。

◆絶対的には高いが相対的に激安な理由

最後に、購入を決めた「絶対的には超高額だが相対的に超絶激安」というお話。
以前手に入れた初号機に、マサズパスタイムで整備するためのミニマムコストである15万円を加え、その総額を今回入手した弐号機の入手価格と比べてみる。

そうするとあら不思議。どちらも整備費用を15万円とみなすと、実は計算上弐号機単体のお値段はもの凄いことになる。それこそ初号機の2割程度と超絶激安。

つまり、マサズ パスタイムで整備する前提に限って言えば、整備費コミの16サイズのマキシマ弐号機は、お得や超絶激安はおろか、むしろタダみたいなもんに近いのだった。(あくまでおさーんの価値観)

もちろん、マサズパスタイムで整備前提だからこうなるワケで、時計の入手のみが目的だったり、使わず並べておくだけなら整備も精度も必要ない。そうした場合この時計はクソほど高い買い物だ。

コレクションとして手元に置くつもりで狙っていた人が多かったか、おさーんと同じ価値観の人がオークションにいなかったことを超絶感謝。

ちなみに、今回の弐号機と初号機は、偶然にも同じ生産年度であり、シリアル番号も近い。従って、中身はおそらく全く同じものであろうと思う。ならばやっぱ二つもいらんかもしれんという思いも頭をよぎる。
だが、初号機は思いに焦がれ、入手に苦労した待望の1個目。これには相当な愛着があるのだ。よって、このまましばらく二つとも持っておこうかと思っている。

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Waltham Riverside
製造年月:1901年前後
モデルナンバー:Model1899
グレード:Maximus
生産数量:14,000個
キャリバーナンバー:10587841(手巻)
サイズ:16s(43.18mm)
石数:23石
ムーブメントタイプ:オープンフェイス
ムーブメントセット:ペンダントセット
振動数:18,000/時(5振動)
ケース:Keystone J.BOSS GoldFilledケース(25年保証)
文字盤:ダブルサンク・エナメル・ガラス文字盤