最近、腕時計も同じだが、どうにもお金が続かずお手頃なものに走りつつあるおさーん。お手頃ものは使うのも気楽で良い。
というわけで、今回は最近手持ちが増えてきているキーストン・ハワード。ミドルグレードの時計となるシリーズ3だ。この時計はヤフオクで手に入れた。このようなミドルグレード以下になると、日本はアメリカよりもかなりお得なお値段となる。
だが状態も推して知るべしなので、そのあたりは自己の知見を頼りに見極めるしかない。とは言っても、どうしたって細部まではわからん。結局のところ、最後は目をつぶって己を信じ一発勝負!になるわけだ。
しかしながらこの時計、入手価格は1万円を切るという激安時計だったため、この時は後先考えず気軽にやってた。→当たり前だが普通はこんな価格では落ちない(通常のたぶん半額以下)

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シリーズ3は、Model1905で16サイズの17石。16サイズは少し大きいが、この時計のムーブメントはキーストン・ハワードの中でも特徴的で、ひとつ持っておきたかった。
では、その特徴的なムーブメントをご紹介しよう。

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◆ムーブメント
キーストン・ハワードはすっかすかなブリッジ構造のムーブメントが多いが、こちらはプレートで全体が覆われる3/4スプリットプレート構造。コート・ド・ジュネ―ブのような円形ダマスキン模様が刻まれているため少し見た目も異なるが、同型ムーブメントのシリーズ4では、円形ダマスキンではなくちょうどヴァンガードのような格子模様のダマスキン装飾となる。こうなると見た目はお馴染みのウォルサムのムーブメントにそっくりなのだ。

では、NAWCC(全米時計蒐集家協会)から得た情報になるが、この時計の仕様について記載してみよう。3/4スプリットプレートを持つムーブメントは、シリーズ2・3・4の3シリーズ。いずれもModel1905で、16サイズの17石だ。
  • シリーズ2:平行ダマスキン装飾、5姿勢調整、ダブルローラー
  • シリーズ3:円形ダマスキン装飾、3姿勢調整、シングルローラー
  • シリーズ4:格子ダマスキン装飾、5姿勢調整、ダブルローラー
3つのシリーズのなかでは、調整姿勢数が少なくダブルローラーが実装されていないことから、今回手に入れたシリーズ3がグレードの低い造りといったところか。

さて、ここまで時計を紹介したところでぶちまけてみる。実はこの時計、安かったのにはからくりがある。そりゃそうだ、全員一斉に終了間際に寝落ちするといった珍事でも起きない限り、あんな値段で普通落ちるわけがない。
画像をよーく見ないと、その不自然さに気づかないかもしれないが、実はこの時計、緩急針が欠品している。
緩急針がなくとも動作はするが、当然のことながら微調整はできない。また、このパーツはひげゼンマイと接触しているので、それが無くなったなら、歩度もかなり狂っているにちがいない。

◆ケース
ケースはハワード純正のケース。メーカーはクレセントウォッチケース社。14K25年保証の金張りケースだ。
ところで、ケースとは関係ないけれど、この時計ずっしりとして結構重いわ。ウォルサムの同サイズと比べ明らかにかなり重い。3/4プレートだからなのか、しっかり作られているからなのか。これにはちょっと驚くおさーん。

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◆カタログから
以下はPOCKET WATCH DATABASEから引用したカタログ。ハワードではお馴染みの作りだ。1909年のモノなので、時計の製造年と同じだ。

E.Howard-Series3-1909

加えていつもの稚拙な意訳

16サイズ、17石
4/3プレート モデル1905
シングルローラー、3姿勢調整
ハンティングまたはオープンフェイス
  • 等時性、温度に加え、3姿勢調整されたハワードは、極端な暑さや寒さの中でも正確な時間を保ちます
  • 日常的にポケットに入れて使うことができる信頼できる時計です
  • すべてのハワード・ウォッチは、工場で専用のケースに収められ、計時されています
  • ハワードのムーブメントとケースの単品販売は行っておりません

概要と価格
16サイズ、17石、3/4プレート、モデル1905
  • ジュエル
    ゴールドセッティングされた17個の選別された宝石
    オリエンタル・サファイアのパレット・ストーン以外はすべてルビー

  • テンプと脱進機
    有名なハワード社製のテンプは、特別に焼き入れされており、過酷な使用状況下での衝撃でも狂いが生じません
    シングルローラー脱進機とスチール製ガンギ車

  • 文字盤
    文字盤はハンドメイドのシングルサンク、最高級かつファーストクオリティーのエナメル製で、ハワード特有の時と分の数字が入っています

  • ハンティングとオープンフェイス
    ハンティングとオープンフェイスの両方で作られており、時刻設定はペンダントセッティングのみとなります。
◆実機と比べてみよう
カタログに記載されるように、石の押さえはウォルサムと同様にゴールドのシャトンが使われている。ハワードのムーブメントでは、石はシャトン留めではなくハメ込み式が多いが、シャトン留めもこの時計の特徴だ。また、センターホイールはその色合いから、ゴールドトレインだと思われる。ミーンタイムスクリューも同様にゴールドのようだ。このあたりもウォルサムっぽい感じ。

◆そろそろいいかちょっと待て!欠品パーツはどうすんだ!
さて、ここまでさらっとスルーしてきたが、いくら安くて動くとは言え、このままではやはりまずいと思ったりもするおさーん。だが安心したまえ諸君。シリーズ3を手に入れた際、万一何らかのパーツが欠品している場合に備え、転ばぬ先の杖として既に準備万端なのだった。

てってれてってってって~
「れぎゅれーたー」ピカピカ→脳内ドラえもんでオナシャス
※微動緩急針は英語でレギュレーターという

s-l1600 (3)

んな所持していない時計のパーツなんか、都合よく前もって用意しとくなんかあるわけない。
実は、終了日になっても全然値段が上がらん状況を見たおさーん、「これは意外と激安で落ちるかもしれん!」と考え、急ぎeBayでシリーズ3用のレギュレーターを探したのだった。無事見つけたのに気をよくしたおさーん、「よっしゃあったで!こいつ1万以内なら落とす!」と鼻息が荒かったのは言うまでもない。
なお、このレギュレーターは送料込みで2千円ほど。(中古)→時計が予定価格以下で落ちたので速攻eBayでGo!

てっきりアメリカから送られてくるものとばかり思っていたら、ポーランドが発送元で、ワルシャワ経由して送られて来とったわ。でも意外と早かった。

てなわけで、欠品パーツ問題は無事解決したのであった。
めでたしめでたし。

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Keystone Howard Series 3
製造年:1909年
モデルナンバー:Model1905
グレード:Series3
キャリバーナンバー:941605(手巻)
サイズ:16s
石数:17石
ムーブメントタイプ:オープンフェイス
ムーブメントセット:ペンダントセット
生産数量:61,500
振動数:18,000/時(5振動)
ケース:Crescent Watch Case Co ・GOLD FILLED・オープンフェイス
文字盤:ポーセリン文字盤