以前、ロードマーベル36000(以下面倒なのでハイビート)の植字文字盤には2種類のインデックスが存在するお話を書いた。



上記記事は、アラビア数字植字文字盤のインデックスのお話と、ケース裏蓋の2つのお話について記載したものだ。そして今回の主題は、このうち裏蓋の製造年についてである。
この記事を公開したとき、特にケースの裏蓋によるハイビート製造年の識別について、さる深い知見を持つ方から、とても有益な情報を教えていただいた。そこで、その情報をご紹介させていただくとともに、以前記載した記事の訂正と補足をしたいと思う。

◆ハイビートの裏蓋と製造年

さて、過去記事の繰り返しとはなるが、まずハイビートの裏蓋についてのお話から。
ハイビートは11年間の販売期間でタツノオトシゴ裏蓋・通常裏蓋・簡素裏蓋の3種類の裏蓋が存在した。(裏蓋画像は上記引用記事参照のこと)
裏蓋には製造年月が2桁で刻印されており、年の表記は1桁。10年以上販売されたハイビートで年が1桁表示では、年数字が被る年の識別が困難。
上記記事では、裏蓋による識別方法に加え、アラビア数字文字盤のインデックス部材変更があったことから、そのコストに着目し、実は販売初年度の1967年の途中で、タツノオトシゴ裏蓋から通常裏蓋に切り替わったのではないかと仮説を立てたのだった。

この記事を公開した後に貴重な情報をいただき、記事中の識別方法の誤りと、正しい識別方法を教えて頂いたのだが、そのさるお方というのは、セイコー以外のメーカーに対する造詣も深いヤスさんという方。「ヤスの時計部屋」というブログのブロガーさんだ。開設当初より現在まで本当にお世話になっており、幼稚園児なおさーんに、数多くの知識を授けていただいた、本当にありがたく畏れ多いお方なのだ。
そして最近、ヤスさんは自身のブログでこの情報を公開された。その内容は、ハイビート裏蓋と製造年の識別方法について。実態調査の結果からの考察である。とても貴重な情報の公開に感謝である。

というのは一部ウソだ!。でも感謝その他は本当だ!。ウソなのは「自身のブログでこの情報を公開された」の部分である。
実は、おさーんが「お願いします、あの貴重な情報を埋もれさせるのはあまりにもったいないので、どうか是非公開してくださいお願いしますお願いします!」と、つい最近無理やりお願いし倒して公開していただいたのだ。
従って言い出しっぺ側も誠意を尽くしてフォローしないと礼を欠くのだ。そして、なにより実際本当に貴重な情報なのだ。
とまぁ、裏事情は良いとして、以下にヤスさんのブログより該当記事を引用させていただく。



ヤスさんは、100個を上回るハイビートの裏蓋を調べ上げ、裏蓋の切り替わりと裏蓋による製造年の見分け方を考察されている。以下にその骨子のみ示す。是非上記記事を読んでから見ていただきたい。

◆貴重な情報1 裏蓋3種類の製造期間

おさーんは、過去記事で、タツノオトシゴ裏蓋→通常裏蓋→簡素裏蓋と切り替わったのではと記載した。だが、ヤスさんが実物検証した事実は以下。
  • タツノオトシゴ裏蓋→通常裏蓋が裏蓋切り替えのメイン、簡素裏蓋は通常裏蓋の販売期間中に、両方が同時に存在していた
うひょーん冷や汗。なお、タツノオトシゴ裏蓋と通常裏蓋の切り替え時期は1967年途中と、物証からおさーんの仮説を裏付けていただいた模様。感謝である。

◆貴重な情報2 製造年の見分け方

個体確認を進めるなかで、当初裏蓋に記載されていた「WATER PROOF」という防水表記が、1970年11月頃を境に「WATER RESISTANT」に切り替わったことを確認されている(!)。
これを利用すれば最初に記載した製造年が被る年式を見分けることが可能とのことだ。素晴らしい!
なにより防水表記での見分け方は、裏蓋の種類に関係なくその手法が有効。もう一回素晴らしい!
なお、調査された過程で、カタログに掲載された販売期間は1967年から1977年までだが、製造期間はそれぞれ1年加えた1966年から1978年まで確認できたそうである。製造が延べ13年にも渡るとは、げに恐ろしきハイビート。

記事の内容引用はここまでだが、なんと貴重な情報だろうか。
おさーんは過去記事で、通常裏蓋から簡素裏蓋に切り替わったとして、製造年を見分ける方法を記載したが、このネタもウソだ!→開き直るなちゃんと謝れ!→この度は大変申し訳ございません<(_ _)>
そもそも、同時期に通常裏蓋と簡素裏蓋の両方が存在していたなら、この方法は使えない。加えて、防水表記の違いはおさーん全くノーマーク。コメントで教えてもらうまで全然気づかなかった。いやーマジで本当に素晴らしい。

◆では、改めてハイビートの製造年が被る場合の見分け方

ヤスさんの実物考察の結果をそのまま採用してしまうおさーん。長いものには完全に巻かれてOK!。
  • 裏蓋の種類を問わず、防水表記が「WATER PROOF」なら1970年以前、「WATER RESISTANT」なら1970年以降で見分ける
この方法は、製造されていたすべての期間において製造年の識別が可能な、最も簡単な方法。なお、年刻印0なら防水表記にかかわらず1970年確定である。
※仮に1978年や79年製造のハイビートがあったとしてもOK、ただし1980年以降の製造が無い前提(さすがにそれはないやろ)

◆サンプルで実際に見てみよう!

というわけで、サンプルである。以下は手持ちのハイビート裏蓋画像だ。

IMG_6189

ラグがそれぞれ明後日のほうを向いているが、こまかいことは気にしちゃあかん。
見づらいから確認用の画像を貼っておく。下記画像をクリックのうえ、拡大して見ていただきたい。

hibeat
  • 一番左の裏蓋の年刻印は7、防水表記は「WATER PROOF」刻印のため1967年5月製造
    →タツノオトシゴやからこれはわかるわな
  • 真ん中の裏蓋の年刻印は7、防水表記は「WATER PROOF」刻印のため1967年11月製造
  • 一番右の裏蓋の年刻印は3、防水表記は「WATER RESISTANT」刻印のため1973年10月製造
というわけで、防水表記に着目するだけで、製造年の判断はとても簡単なのである。目から鱗とは、まさにこのことか。

◆このほかにも細かな違いハケーン(重箱の隅)

上記画像を見比べている途中で、防水表記以外の違いに気づいたおさーん。重箱なのでどうでもよいが一応書いておこう。
  • 諏訪精工舎のマークの有無
  • 製造番号刻印が7桁から6桁に変わっている
  • 「JAPAN F」表記の有無
サンプルがこれほどありながら今頃気づくとは。手抜きではあるが、一応10個程度の別個体をさらっと確認してみたが、この3つの違いは「WATER PROOF」時代に変更が行われた模様だ。時期は1967年12月以降から翌年の年末までで行われたらしい。なお、「JAPAN F」表記以外に「JAPAN A」表記もあった。
末尾のアルファベットが示す意味は不明ではあるが、ハイビートは輸出もされたそうなので、それにともなう刻印追加であったのだろうと思う。
ヤスさんもこの違いには気づいていたようで、記事中に「本当はもっと細かい話が他に色々あるんだけど」と記されている。このほかにもいくつかあったのかもしれない。

◆最後に

重要なことなので最後に書いておくが、「あれ?ハイビート2つじゃなかったっけ?」とか、「あのタツノオトシゴの製造番号、前にどっかで見たことねぇか?」などといった、いらんツッコミや過去記事調査などはやらんでよろしい。コメで突っ込まれた場合は、裁判長!黙秘権を行使します!


ヤスさん、おさーんの無理難題を聞いていただき、心より感謝申し上げます。<(_ _)>