前回ハイビート(ロードマーベル36000)の記事だったので、ついでに今回もハイビートで行ってみよう。といいつつ、実は前回記事の続きである。

前回記事では、敬愛する「ヤスの時計部屋」のブロガーさんであるヤスさんが、ご自身のブログに発表した貴重な情報を取りあげた。



このお話の元ネタは、昨年9月にハイビートの記事を公開した際に、ヤスさんから教えて頂いたものだ。そして、このお話にご自身が現物調査した結果を加え、最近ご自身のブログに掲載された。
実は、ヤスさんから教えて頂いた貴重なお話はこれだけではなかった。そこで、ヤスさんの記事では触れられなかった情報を今回は取りあげてみたい。このお話も非常に興味深い情報であり、惜しげもなく教えて頂いたヤスさんに感謝。
その情報がどんな内容なのか簡単に言うと、ハイビートのムーブメント(Cal.5740C)はごく初期のモノとそれ以降で、いくつか違いがあるというお話だ。
こういう「細かすぎて誰もわからないネタ」(=重箱の隅または重箱)は何よりおさーんの大好物。今回も躊躇なく取り上げてしまうのである。

さて、ヤスさんから教えて頂いた情報は以下の2点
  • 初期のCal.5740Cは刻印が黄色
  • 極初期のCal.5740Cには秒針規正用の穴がある
◆初期のCal.5740Cは黄色刻印

これはネットに転がっているあまたの画像を見れば確認は可能だ。だが、おあつらえ向きにおさーんの手元には比較的初期のハイビートがある。これで実物検証してみよう。

では、タツノオトシゴ裏蓋を持つ、1967年5月製造のハイビートご開帳!

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おぉ、ホントだ。確かに黄色だわこれ。そして面白いことに、機械番号が無くなった代わりにつけられていたはずの「JAPAN」の刻印もないじゃんこれ。ほぉーこれはなかなか興味深い。
なお、他で少し別個体をみたところ、黄色刻印で「JAPAN」の刻印が打たれたものも見つかった。
ムーブメントの「JAPAN」刻印は、刻印色とは非同期で入るようになったのかも。

では続いて、少し時代が後の個体となる1973年10月製造のハイビートだ。いでよカモン!

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こっちは黒刻印。そして見慣れた「JAPAN」の文字も見える。
見比べてみたところ、これ以外に双方のムーブメントに違いはなさそうだ。
となれば2つ目の違いとなる「秒針規正の跡」は、上画像の67年の個体では既に無くなっているようだ。
さて、裏蓋の表面はそれぞれ時計の横においてあるので違いがわかるかと思うが、裏蓋の裏はどうだろう。

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これはどっちがどっちなのか、実は左から右へ新しくなる。左が67年製造のタツノオトシゴ裏蓋。右が73年製造の通常裏蓋。
面白いことに、タツノオトシゴ裏蓋のムーブメントは「JAPAN」刻印がない代わりに、裏蓋内側にその刻印が打たれているのだった。ちなみに右側73年製造の通常裏蓋は、裏蓋表面に「JAPAN」刻印が打たれている。重箱なのは承知のうえで、こんな違いがあるとはこれは楽しい。

こうなると気になるのは、もうひとつある1967年10月製造の通常裏蓋の中身と裏蓋内側だ。当然トライしたものの、この裏蓋があまりに固い。結局何をどうやっても開けられなかった。なんでこんなに固く締めちゃうワケよまったく。残念。

極初期のCal.5740Cには秒針規正用の穴がある

一応2つの個体を並べておくが、どちらにもその痕跡は残っていないようである。これより前となると、本当に極初期になるが、そうした個体のみの特徴なのかもしれない。

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というわけで、以下に実際にヤスさんが書き込んでいただいたコメントを引用。

・・・watch ctiさんの過去販売品で1966年10月製、文字盤はバー、裏蓋はタツノオトシゴ、中の機械の3番受けに特徴があり、①秒規制レバー調整用の穴が開いている

ふむ、Watc CTIさんに標本があるわけね。ではそちらを探してくるとしよう。
ふわーここめっちゃハイビートある。お、これですねなるほどなるほど。

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Watch CTIより引用 画像クリックで該当商品(販売済)の説明へリンクします

おぉ!確かに穴がある。「23JEWELS」の隣に穴あるぞこれ。これは面白い。
なお、Watch CTIの商品説明によれば、どうやら秒針規正の跡というよりCal.5740Bの受けをそのまま使ったと書かれている。そうなん?

では見比べてみよう。あいにくCal.5740Bの持ち合わせがないので、こちらもネット画像から。
なお、どうやらCal.5740Bにも、穴あきと穴なしがあるようだ。意外と穴なしは少なそう。

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Watch-Colleより引用 Cal.5740Bサンプル画像(Ref.5740-8000 ロービートモデル)
※画像クリックで該当商品(販売済)の説明へリンクします

確かに穴の奥に何やら部材が見える。Cal.5740Bはハイビートと異なり、秒針規正を持ち、振動数を5.5振動と少しだけ上げてある。もしかするとこれに起因し、秒針規正がうまく効かないなんてことがあり、規制レバー調整時の整備性向上のために穴を空けたといった感じだろうか。なるほど。→勝手な妄想に納得している

Cal.5740Cの穴あきについては、おさーんもヤフオクで少し確認をしてみた。
その結果、1967年3月製造で穴あき受けが使われている個体があった。おさーん手持ちの67年5月には穴は無いので、67年3月から5月くらいまでで部材が切り替わったものと思われる(多少の前後はあり得る)。だが、この穴は調整用の穴のようなので、機能の無いハイビートには単なる無駄な穴ということだ。
たった穴ひとつでも加工費用は余分に掛かる。部材流用時はやむを得ないとしても、新たに作る分からは、不要なモノならとっととやめるのは当然のお話だろう。

国産初のハイビートは、こまごまとした仕様変更が見受けられるのが面白い。
もしかすると、とにかく早く発売することを優先に、なる早で資材調達できる方法を用いやりくりしたのだろうか。いろいろと妄想が膨らむのが楽しい時計だ。

※細かすぎて誰もわからないネタは「重箱の隅」というタグが付いているので、お暇な方はどうぞ。


### 2021./07/07 追記 ###

コメントで穴あきハイビートをお持ちの方から画像をいただいたので追記しておきます。
いただいた画像の個体、なんと1967年11月製造とのこと。

IMG_6085 (2)

おぉ、ホントですね。穴空いていますね。
で裏蓋です。個人のお方の時計なので、製造番号は年月以外を消しています。以外は元画像のままです。

LM36

67年11月製造はおさーんの初号機ハイビートと同年同月です。初号機のムーブメントは穴あきではなかったため、いくつか確認しましたが、67年3月以前だといくつか見つかりました。ですが、11月くらいまでは少なからずあったということですね。
裏蓋刻印はおさーんの初号機と同様、JAPAN刻印無し、諏訪マークも無しですね。
かなり多くのハイビートを見てきましたが、穴あきってホントないんですよね。
貴重な画像のご提供ありがとうございました。