前回、ウォルサムのモデルやグレードと、最上位となるグレードのAmerican Watch Co.(以下A.W.Co.)をご紹介した。今回は1900年以降、ウォルサムハイグレードのメインであったRiverside Maximusについてご紹介する。


◆リバーサイドマキシマの簡単なおさらい
リバーサイドマキシマは、大小さまざまなサイズで幅広く展開された、A.W.Co.グレードに次ぐウォルサムのハイグレード。この時代のハイグレードは高精度と同意だった。鉄道時計規格に準拠したその造りは、見た目の贅沢さだけでなく規格精度を満たす非常に高精度な時計だった。
特に16サイズのリバーサイドマキシマは、こと名前だけで言うなら、間違いなくウォルサムを代表する銘のひとつだろう。アメリカ製の懐中時計においても代表的なもののひとつだ。

なお、アメリカ製懐中時計は、機械化+最後の手仕上げで大量生産に成功。ハイグレード懐中時計も例外ではなく、これだけ贅沢で高品質な時計でありながら、その生産数は多いもので万を超える。また、多くの時計が今も現存し稼働状態にある。

こうした理由から、リバーサイド・マキシマと言えど、欧州製の雲上懐中時計に比べると相当リーズナブル。おさーんはたまたま最初にウォルサムの時計に引っ掛かったが、他アメリカメーカーのハイグレード懐中時計もマキシマになんら劣ることはない。
アメリカ製品にはクロノグラフやレピーターといった複雑なものはかなり少ない。だが、その品質や造りから見て、当時のどの国の懐中時計と比べても極めて高品質だ。そう考えると現在の価格は恐ろしくリーズナブルだと思う。

ちなみに、現在のところ懐中時計全体が腕時計に比べると人気がなくとても安い。これは欧州雲上製品においても例外ではない。
100万円代がミドルレンジとも言われるようになってしまった腕時計の価格感からすると、懐中時計は余程のモノでない限りどれもたいした額ではないが、小遣い範囲のおさーんにとってその絶対額はどれも高い。

◆リバーサイドマキシマの各モデル
では、リバーサイドマキシマの各モデルをサイズ別にリストアップ。なおここで取り上げるのはRiverside Maximusの銘が付いたもののみとし、単なるMaximusだけのものは除いてある。

◆16サイズ◆
・Model1888 Riverside Maximus 21J(1896 - 1902)


マサズ パスタイムより引用 Model1888 Riverside Maximus

Model1888はMaximusが初めて登場したモデル。同モデルには最上位にA.W.Co.(American Watch Co.)グレードも存在しており、Maximusはこれに次ぐグレードだ。A.W.Co.との違いは詳しくはわからないのだが、A.W.Co.のみが金無垢の香箱を搭載しており、MaximusはA.W.Co.のいわば廉価版というお話らしい。廉価版といえども造りは素晴らしく、見た目の装飾などはマキシマシリーズ中最も手の込んだもののひとつ。生産数量は900個とも1,551個とも言われている。2ペアのダイヤモンドキャップとフルゴールドトレインを搭載している。

・Model1899  Riverside Maximus 21J・23J(1900 - 1913)→23J討伐済み!
・Model1908  Riverside Maximus 23J(1908・1919)


マサズ パスタイムより引用 Model1899 Riverside Maximus

Model1899とModel1908は細かな仕様に一部違いがあるが、さしたる違いでもないので併せて表記する。
各サイズに展開するマキシマのなかでも、16サイズは他とは異なる。とりわけダマスキン装飾が込み入っており、とても美しいムーブメントなのだ。製造数は、Model1899が14,000個、Mdel1908が400個。フルゴールドトレインの輪転に、ガンギとテンプのキャップジュエルはダイヤモンドが奢られる。また、伏石のシャトンは盛り上がったレイズドタイプ。テンプのミーンタームスクリューと併せ、素材はゴールドが奢られる。きっちり整備をしてあげれば、現在も極めて正確に動作する時計。
なお、Model1908には、ハイグレードとしてVanguardもラインナップされている。

◆14サイズ◆
・Colonial Siries Riverside Maximus 23J(1906 - 1910)

※旧型ムーブメント 23J Riverside Maximus 3/4スプリットプレート
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POCKET WATCH DATABASEより引用

※新型ムーブメント 23J Riverside Maximus プリッジプレート→討伐済み!

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コロニアルシリーズと呼ばれるモデルは、文字盤は14サイズだが、ムーブメントが12サイズのモデル。ムーブメントのベースは12サイズのModel1894で、これの文字盤側の地板を14サイズに拡大したものと思われる。生産数量は2,311個。文字盤サイズ以外は12サイズのModel1894と変わらないが、その希少性から相場価格は16サイズのマキシマ並みと高め。
なお、Model1894は旧型ムーブメントと新型ムーブメントの両方があり、旧型ムーブメントは3/4スプリットプレート、新型ムーブメントはブリッジプレートという違いがある。(上記画像参照)
ムーブメントの仕様は装飾を除き16サイズのModel1899/1908と大きくは変わらない。ダイヤモンドは2ペアキャップ(ガンギ・テンプ)、ゴールドトレイン、ゴールドシャトン、ゴールドミーンタイムスクリューが実装される。ただし、トレインについては差もあり、3/4スプリットプレートの旧ムーブメントではフルゴールドトレインだが、ブリッジプレートの新形ムーブメントでは、上記新ムーブメントのサンプルは、センターホイールのみがゴールドだ。
コロニアルシリーズは、サイズの特殊性から、サイズ規格のケースが合わない。販売当時は、工場でケーシングしてから出荷されており、Colonial銘の入った純正ケースが付いている。もし運よく見つけて手に入れる場合はケースも重要な確認ポイントだ。
なお、コロニアルシリーズに加え、コロニアルAというモデルが14サイズで出ており(ブリッジプレート)、これにMaximusグレードが21石で存在する(Riverside銘は付かず、プレート上の記載はMaximus A)。Makimusの銘は付くが、微動緩急針は付かず装備も簡素化されているようだ。

◆12サイズ◆
・Model1894 Riverside Maximus 21J・23J(1897 - 1919)
旧型ムーブメント 21J Riverside Maximus 3/4スプリットプレート 

マサズ パスタイムより引用

※新型ムーブメント 23J Riverside Maximus プリッジプレート→21J・23J討伐済み

マサズ パスタイムより引用

先に記載したコロニアルシリーズのベースとなったムーブメントがModel1894。旧型と新型のムーブメントがあり、相違点はコロニアルシリーズと同一で、3/4スプリットとブリッジのプレートタイプだ。

どちらのプレートタイプも21石・23石が作られたが、旧型ムーブメントである3/4スプリットプレートの23石はかなり珍しく、おさーんもこれまで一度しか見たことはない。

というか、これを見つけるまで、おさーんは旧型ムーブメントは21石までと思い込んでいた。
「え!?あったのこれ?」と驚いたほどである。

生産数量は両方合わせて9,863個となる。

時計の仕様は16サイズのマキシマと同様で、2ペアダイヤモンドキャップ、ゴールドトレイン、ゴールドセッティング(シャトン)、ゴールドミーンタイムスクリューが実装されるが、新型ムーブメントは時代が新しくなるにつれて、ゴールドトレインがセンターだけになったりと、徐々に簡素化されていく。

旧型ムーブメントは現在ほとんど見かけないため、出てくればかなり高価となるが、ブリッジプレートの新型ムーブメントは比較的よく見かける。また、製造年が新しいものは装備が簡略化されるためか、価格もお手頃だ。
それを理解したうえで購入するなら新旧どちらも良い買い物かと思う。加えて現代では12サイズの大きさが丁度良いこともあり、Model1894は使い勝手が最も良い。

◆10サイズ◆
10サイズにRiverside Maximusのラインナップはない。ただし、先に記載したコロニアルAが10サイズにも存在する。こちらにもMaximusグレード(Riverside銘は付かず、プレート上の記載はMaximus A)があることを書き添えておく。

◆6サイズ◆
・Model1890 Riverside Maximus 19J(1896)→討伐済み
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6サイズにラインアップされたRiverside Maximusは1ロットで生産されたのみで、その生産総数は500個と極端に少ない。また、このサイズ自体がマイナーなサイズであることから、このグレードについては情報もあまりなく、見かけることもごく稀だ。
ムーブメントセッティングはハンティングのみ。文字盤もローマ数字のみで、針もこれがオリジナル。他のマキシマとは一風変わった風情である。また、ダブルサンクダイヤルを搭載するサイズとしてはこれが最小。
1890年代末の生産ということもあり、ムーブメントは旧型の3/4スプリットプレート。フルゴールドトレインにゴールドセッティング、ゴールドのミーンタイムスクリューとお約束の贅沢さを備える時計。ダイヤモンドキャップもテンプとガンギの2ペア。
数が少ないため長期覚悟でひたすら待つ必要がありしかも高い。これを狙うなら、12サイズかもう少しお金出して16サイズを狙うことをお勧め。

◆0サイズ◆
・Model1891 Riverside Maximus 19J(1896)

マサズ パスタイムより引用
※懐中時計を腕時計用ケースにケーシングしたもの

こちらのモデルは旧型で3/4スプリットプレートのムーブメント。これもかなり数が少なく、1ロットのみの製造で、生産数量は700個と6サイズModel1890に次ぐ希少なモデル。おさーんも過去2度しか見かけたことはない。希少性から価格も高価になるため、どうしてもコレでなければ、次に記載するModel1900を狙うことをお勧め。
ムーブメントに2ペアのダイヤモンドキャップやフルゴールドトレインといった仕様を、このサイズでも使っているのが凄い。なお、このサイズは女性向けであり、懐中時計としてはかなり小さいため、普段使いは厳しい。昨今は上記のように腕時計ケースにケーシングしたものも増えている。腕時計として見た場合、サイズ感は非常によいのだが、ケーシングにかかるコストが高いのが難点。

・Model1900 Riverside Maximus 19J(1900 - 1911) →討伐済み!


こちらはModel1891の後継モデルだが、ブリッジプレートではなく、旧型の3/4スプリットプレートのムーブメントとなる。0サイズ以下のムーブメントは小さいため、ブリッジプレートを採用したモデルは無いのではないかと思う。
このモデルは11年間製造されており、製造当初のモデルはModel1891同様フルゴールドトレインや2ペアのダイヤモンドキャップを実装していたが、後年の個体はテンプのみがダイヤモンドキャップとなる。製造数量は9,684個と結構な数が作られており、現在も比較的よく目にする時計。その大きさから価格もそれほど高騰することもなく、比較的手に入れやすい。
懐中時計としてはほとんど使えないが、それでもマキシマをと思うなら、金無垢ケースでも価格的に入手しやすい時計がこれ。
おさーんが最初に手に入れたマキシマはこれだった。

というわけで、各サイズを網羅するリバーサイドマキシマは以上だ。
もしおさーんがここからお勧めを選ぶとするなら、Model1894の12サイズブリッジプレートが筆頭。理由は価格面で狙いやすく手頃な大きさだから。
次はModel1899の16サイズかと思う。理由は高価だが価格に見合う品質と造りの贅沢さから。
16サイズはとにかく見栄えが素晴らしく、なによりマキシマの代表格なので、これだけに絞っても良いかとも思う。なお、16サイズは数も多いので、その気になれば手に入れるのは割と楽。
どの時計を狙うにせよ、ウォルサムの時計はできる限り製造開始年に近いものをお勧めしておく。また、マキシマは専用ダイヤルと針を持つので、それらのオリジナリティと状態もよく見ておくこと。これがあるかないかでその価値は大きく違う。

つかれちゃったのでこれで終わり。